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狙うべき顧客はどこの誰か~競艇ビジネスからの考察~[マーケティング戦略・営業戦略]

皆様の会社では、皆様が狙うべき顧客が「どこの誰か」、明確に把握されていらっしゃいますでしょうか。いわゆる「ターゲティング」ということですが、私どもがコンサルティングを行う中で、明確に把握できていない企業様に出会うことが多々あります。

マーケティングを行う上での要諦は、「自社の商品・サービスをどこの誰に提供するのか」ということが大前提です。どのように提供するのか、という販促・プロモーションは言ってしまえば二の次なのです。

今回は、私どものコンサルティング事例である競艇ビジネスを例にとりながら、ターゲティングの重要性と、明確なターゲティングがもたらす効果についてお話させていただきます。
容易に想像可能かと思いますが、競艇ビジネスは、経営環境が近年非常に厳しくなっています。他の公営ギャンブルと同様、競艇市場は年々右肩下がりで毎年5%程度縮小していますが、最大の要因は競艇場に行く人が減っていることです。ギャンブルというイメージの悪さから、若者や女性など新しい客層を獲得できていないのです。

実は、競艇事業がもたらす収益は、競艇場がある自治体(都道府県や市)の主要な財源となっています。したがって、収益減少により赤字になり税金を補填しなければならなくなったら、事業自体の存在価値がなくなってしまい、まさに危機的な状況に陥っている業界なのです。

そのような経緯もあり、ある競艇場から経営改善の相談があり、コンサルティングに入りました。
現状を少し整理させていただくと、競艇における商品である舟券(競馬における馬券)は、(1)実際に競艇場に来て購入する場合と、(2)インターネットを用いて購入する場合と2パターンあります。

この2つの購入ルートでは、利用客の特性が全く異なります。(1)は競艇場の周辺に住んでいる高年齢者(特に男性)が中心であり、(2)は全国に散らばっておりインターネットという媒体の特性上、年齢層も幅広くなっています。また、(1)は減少傾向にありますが、(2)は逆に増加しています。

しかし競艇場の方々は、「どこの誰が」顧客かを具体的にイメージできていないため、明確で効果の高い打ち手をとれずにいました。そのため、我々が入るまでは、新聞広告に販促費用をもっとも投下していました。(競艇というビジネスの特性上、マス広告の効果は低いと言えるでしょう。)

具体的なイメージとは、(1)に関しては「競艇場の周辺とは具体的にはどこか、どの範囲までか、どこに住んでいる人か」、(2)に関しては「インターネットで購入する人はどのような人か、どのようなキーワードで検索する人か、どのサイトにアクセスする人か」といったことです。そこまで分からなければ、最適な販促・プロモーションを打てるはずがありません。

そこで我々はまず、「狙うべき顧客はどこの誰か」を明確にするために、(1)・(2)それぞれについて、既存利用者を調査することとしました。

(1)については、ポイントカードシステムを導入し、競艇場に来た人の属性(住所、年齢など)とともに利用者それぞれの来場頻度を把握することとしました。そうすることで、競艇場に来る人は、競艇場から○km圏内に多く集中しており、特に△km圏内の人は来場頻度が高い、といったことが分かりました。

一方、(2)については、インターネットのアクセス解析を行うとともに、メルマガ登録の仕組みを活用して属性(住所、年齢など)やメールアドレスを把握することとしました。そうすることで、インターネットで購入する人は、□□というキーワードで検索する人が多く、××というサイトにアクセスしている、といったことが分かりました。
調査前後におけるターゲットの見え方の違いをもう一度整理すると、調査前は、

● 競艇場の近くに住んでいる人
● インターネットで購入する人

でしたが、調査後は、

● 競艇場から○km圏内に住んでいる人、特に△km圏内、住所もそれぞれ把握
● □□というキーワードで検索して××のサイトにアクセスする人、メールアドレスもそれぞれ把握

と、全く変わったことがお分かりいただけるかと思います。

ここまで把握できてようやく、販促・プロモーションを検討することができるのです。皆様も色々とアイディアは浮かぶかと思いますが、今回我々が実施したことをご紹介すると、

(1)に関しては、新規来場者を獲得するための商圏を絞った折込みチラシや、既存来場者の再来場を促すためのダイレクトメール送付・ポイント制度の充実などです。

(2)に関しては、SEOやリスティング広告、ホームページの構成の見直し、メルマガの定期的な送付などです。

最終的な施策だけを見ると、ごくごく当たり前なのですが、「どこの誰を狙うべきか」が明確になっているため、非常に効果の高い販促・プロモーションとなっているのです。

効果は徐々に現れ始めており、今後も更なる結果が期待できると考えています。
例であげた競艇ビジネスは、商品(舟券)は単一であり競合もほぼ存在しないため、非常にシンプルな例でしたが、基本的な考え方は皆様のビジネスにおいても転用できるかと思います。今一度、「狙うべき顧客はどこの誰か」、検討してみてはいかがでしょうか。