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“環境価値”の付加[マーケティング戦略・営業戦略]

昨今、日本を始め、世界各国で環境問題、特にCO2を中心とする温室効果ガスの削減が話題となっています。先月開催された、北海道洞爺湖サミットでの議題や7月29日の政府による「低炭素社会づくり行動計画」の閣議決定は皆様の記憶にも新しいのではないでしょうか。日本国内でもCO2排出量取引制度や省エネの推進、新エネルギーの導入など法整備も進みつつあります。また、企業においても自ら積極的に自社内の省エネや廃棄物排出削減、グリーン購入に積極的に取り組む企業も多くなってきました。これら企業の活動は地球環境や社会にとって大変意義のあるものです。しかし、企業における環境活動は売上や利益に繋がらなければ、持続的に継続していくことは難しいと考えられます。

そして、環境価値を自社商品に加え、売上や利益に結びつけた企業はまだま限られています。そこで今回は環境価値の商品化や自社商品のブランドアップとして成功した事例をいくつかご紹介します。
まず、環境価値の商品化の事例としてローソンの取り組みをご紹介します。

ローソンでは現在、ユニークな試みとして、一般消費者を対象に『CO2オフセット運動』に取り組んでいます。この取り組みは個人や家庭で排出されるCO2を小口の排出枠を購入することでオフセットしようとするものです。今年の4月に開始して6月までの約3ヶ月で総量約600tものCO2がオフセットされ、現在も販売数は順調に伸びています。実際にはこの取り組みでローソンは利益をてはいませんが、自社のブランド力向上やローソンの商品の購入機会創出などニ次的なメリットも生まれています。

この成功のポイントは大手企業のみが参加できるCO2排出枠を一般の人々が購入できる価格と量に設定したことと、ローソンのポイントと交換することができ、現金を支払わなくても気軽に参加できる点です。

次に省エネや節水などコスト削減を訴求し、経済的メリットをアピールした事例です。これは既にご存知の通り、トヨタなど自動車メーカーが進めるハイブリッド車や低燃費車、住宅用太陽光発電システムなどが上げられます。これらは、近年のエネルギー価格の高騰や企業や家庭でのコスト削減意識の高まりから、普及が伸びてきています。
 
これらの企業の成功要因は環境価値を貨幣価値に置き換えて訴求した点で消費者に分りやすかった点です。

最後に環境価値を商品のブランド力向上に用いた事例です。タオルなどの繊維製品は近年、中国を始めとするアジアの国々にシェアを奪われています。特に価格の競争力では圧倒的に不利になります。品質面での差別化を行って高級ブランドとして提供を試みている企業も多く見られますが、大きな差別化が難しいのも現状です。この様な背景の中、四国のあるタオルメーカーでは自社の商品を製作する際に風力発電所で作られた電気(グリーン電力証書)を購入して、タオルの製作を行っています。これを自社の製品を訴求する際に「風で織るタオル」といった打ち出し方をしており、タオル自身の品質と共に環境価値を付加することで、自社製品の拡販に繋がっています。

この様に、環境価値を自社商品に付加し、売上やブランド力の向上に繋げるといった成功の要因は以下の3点が考えられます。

1. 顧客が気軽に利用できること(大きなコスト負担にならないこと)
2. 省エネやコストの節約など経済的なメリットの訴求
3. 自社商品に合った環境価値を付加することでブランドイメージの向上を行う

環境に良いというだけでは売上や利益の向上に結び付けることは難しく、常に顧客視点に立った戦略が必要と言えるのではないでしょうか。