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中身のあるEC大国に脱皮できるか

先進国がさらなる成長を行うためにはネットやITという新技術を活用して、新しいビジネスを創造する、新産業を興すということが不可欠であると思います。そして生活者に対してより豊かで、利便性の高い購買体験を提供していくという視点でECという市場において様々なチャレンジに取り組んでいくということはもはや全てのリテール企業が成長を企画する場合の必須条件となっているはずです。

日本では経済産業省の「我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備の調査」が小売り市場全体のうち何パーセントECで購入しているかを見る指標であるEC化率を算出していますが、世界市場ではアメリカの調査会社eMarketerが世界の消費者向け電子商取引市場について調査を行っており参考になります。

この資料を見ますと2014年の全世界の小売りEC市場規模 (物販に限定した狭義のEC市場規模) は全小売り市場の約5.9%、1兆3,160億USドル規模とのことです。そしてこの市場は2018年までに8.8%、2兆5,000億USドルにまで大きく成長すると予想されているのです。かなり順調な伸びが期待できそうです。現在のEC市場規模ランキングは世界において中国1位。アメリカ2位、英国3位、日本4位となっています。

中国とアメリカの2カ国で全世界のEC市場規模の半分以上を占めているというような状態で、特に近年は中国の市場が爆発的に拡大してきていることがわかります。この先も中国がECを伸ばしていくことは間違いないと思われ、2018年までには中国の小売りEC市場規模は1兆USドルを超えて1国で全世界の40%以上を占めるまでになるということです。

その時点でアメリカは中国の半分の約5,000億USドルで2位。英国は約4分の1の規模で3位、日本も第4位を維持していると予想されています。市場規模についでEC化率を見ますと各国で年々利用率が伸びていますが2014年の1位は英国で13.0%。2位中国10.1%、3位フィンランド9.8%、4位ノルウェー9.7%、アメリカは6.5%となっており日本は10位で4.9%とのことです。

EC化率1位の英国では既に人口の73%以上がインターネットで商品を購入しており、2018年にはEC化率はさらに伸び18.0%となると予想されています。これらのデータから考えるとECを利用した販売は真剣に考えなければならないことは明白です。同時に中国市場においてECに挑戦していく必要性も感じます。昨年訪問したイギリスの小売店では店頭にキオスク端末を設置したりEC宣伝の積極的展開は日本以上に強烈なものでした。

日本はクロネコヤマトが宅急便を産みだし、非冷商品から冷蔵・冷凍商品まで全国に配達する技術を持っています。コンビニの受け取り拠点化も世界一優れています。ところが配達力・受け取り力が日本一でもECによる販売のイノベーションではまだまだ遅れをとっているというのが実情なのだと思います。双方がうまく回れば、そのビジネスモデルは世界でも通用するのではないかと思います。

ECのビジネスモデルの革新と新たな挑戦は日本の経済をも元気にすることに間違いないはずです。躊躇している暇はありません。