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『“できる”目標と“すべき”目標』~組織に蔓延するジレンマに気づく!

「目標を達成しなければならない」

経営陣はもちろん、マネジャークラス、一般社員にいたるまで、必ず求められるのが目標を達成することだ。
ただし、この目標ひとつとっても、それを設定する人の考え方で意味合いは大きく変わってくる。
その考え方としては、大きく2つに分かれるようだ。

ひとつは、“できる”目標。
「今期は厳しい環境のなかで、何とか2億円の目標をクリアすることができた。来期は、何とか今期以上の数字にはしたいと思うが、この環境が大きく好転することは考えづらい。目標必達を目指して、プラス2~3%にしようと思う」

もうひとつは、“すべき”目標。
「今期は厳しい環境のなかで、何とか2億円の目標をクリアすることができた。しかし、将来的にこの市場(業界、地域)で一定のポジションを獲得するためには、5億円を早い段階で達成しなければならない。仮に3年後に5億円達成と考えた場合、その為に何をやるべきで、だとすると来期“すべき”目標は何億円なのか、それを明確にしたいと思う」

このように比較してみると、“すべき”目標を掲げることがベターだというのが、理屈としてはわかる。「理屈としては」というのは、「そうしたいと思っていても出来ない」現実が一方であるからだ。
組織のなかにいれば、「そんな目標、達成できるのか?」と上司に言われるだろう。しかもチームやグループ、あるいは部署の目標となってくると、上司に対しても部下であるメンバーに対しても、その根拠を示す必要が出てくる。

可能であれば、目標の意義や意図を示し、関係者の合意をとり、目標を達成するための計画をつくりこんでいくというステップを踏めば良いのだが、なかなかそれも難しいのが実態だ。
まさに、今期の目標を達成しようと最後の追い込みをかけている最中に、来期の目標と計画を立案しなければならない。今期と来期の間に時間的余裕は全くないというわけだ。
さらには、評価制度に目標管理の要素を取り入れている企業だと、目標に対する達成率が指標になっていたりして、評価の為の目標設定といった考えに陥っているケースも多い。

しかし、よく考えてみて欲しい。
“できる”目標を掲げた瞬間から、革新的な考えを出す必要性がなくなる。数字を上げるためには、今までのやり方を踏襲するのがベスト、数字になるかどうかわからない新しい仕掛けに手を出すのはリスクが大きい、となってしまう。
“すべき”目標を達成するためには、今までのやり方だけでは数字が足りないのが明らかだから、新しい仕掛けに取り組む必然性が出てくるし、今までのやり方に関しても、より効率的に、より効果的に、を考えなければならなくなる。

もちろん、先に上げたような、様々なジレンマとの戦いが待っている。
しかし、どうだろう。経営陣が、マネジャー層が、そして多くの社員が、そのことに気づくだけでも、変われるきっかけになるかも知れない。
まだまだ日本企業には、成長の余地がたくさんある。