前回は「市場規模およびシェア」を調べることで、自社の立ち位置・方向性を明確にすることができるようになるとお伝えしました。
今回は、調査・分析項目【2】として「業界動向調査」について書きたいと思います。
業界動向調査は、新規事業参入時などにその業界がどのような状況にあるのかを調査することで、
自社が参入しようとする商品やサービスが適しているのかどうか、
今後入り込む余地があるのかどうかを検証する際や、既存事業の現状を再認識する際などに実施します。
例えば、その業界でいま注目されていることは何なのか、何が起こっているのか。
細かいところでいえば、どのような商品が流行しているのかを調査することも業界動向調査となります。
調査することにより得られた情報から、今後の業界予測や対策を行うことが可能となります。
下記は健康食品業界の例ですが、これから大きく動こうとしているので、ご紹介します。
健康食品業界の市場規模は2兆円とも3兆円ともいわれており、非常に大きな市場です。
その健康食品業界では、平成27年3月末までに実施される「機能性表示制度」により大きく変わろうとしています。
「機能性表示制度」とは、企業の責任において科学的根拠をもとに機能性を表示できるというものです。
今よく見かける「脂肪を消費しやすく」「油の吸収を抑える」などと効能が謳われている飲料などは、
トクホ(特定保険用食品)といわれるもので、市場規模は約5,000億円と健康食品業界の15~20%を占めています。
トクホの場合、国が健康表示を認めていますが、この認定を受けるには期間もコストも非常にかかるため、中小企業が認定を受けるにはとても大きな壁となっています。
国の認定を受けていない商品の場合、直接的な効能を表示することができないため、販売する際の説明も非常に難しく、
「これを飲めばひざの痛みが改善します」や「これを飲めば視力が回復します」など直接的に効能を説明することはできません。
そのため、「働き盛りの方には…」「毎日健康に過ごしたいあなたに…」などと表現をぼやかす感じになります。
そこで、それ以外の健康食品にも、効能の表示を企業の責任によって可能とさせるものが「機能性表示制度」ということです。
これにより、消費者は商品を理解しやすくなるため、さらなる市場の活性化につながることが期待されています。
一方で、実際には期待できない効能を謳い、意図的に消費者を欺くようなメーカーが増える可能性も秘めています。
ルールを定めなければ消費者が不利益を被る可能性があるため、きちんとしたルール作りが必要となります。
「機能性表示制度」により大きく変わろうとしている健康食品業界では、今後はメーカーがいかにして消費者に信頼される商品をつくるのか、
またどのようなPRをするべきなのかを考えなければなりません。
上記は健康食品業界の例ですが、これから新規事業を立ち上げようとしている業界、
または自分たちの業界がどのような動向になっているのか、
現状を把握するためにも一度調査・分析されてみてはいかがでしょうか。