こんにちは。齋藤健太です。
今回は、アンケート手法の一つである「グループインタビューの活用方法」についてお話したいと思います。
グループインタビューとは、少人数(1グループあたり6~8名程度)の対象者に対して司会者が座談会形式でインタビューを行い、その回答(発言)から対象者の深層心理を捉えるための調査手法になります。
対象者の生の声をダイレクトに確認することが可能であり、定量調査では捉えきれない、行動の裏側にある消費者心理を把握することが可能となります。
それでは、効果的なグループインタビューを行うためには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
あるハウスメーカーの事例を織り交ぜながら、注意すべき2つの項目についてお伝えさせていただきます。
注意すべき1点目は、インタビューを行う対象者をできるだけ自社のターゲットに合うように絞り込むことです。
例えば、上記ハウスメーカー様の場合、メインターゲットが団塊世代であるにも関わらずその年代層の売上が減少しているという状況でした。
従ってその原因を特定するために、まずは団塊世代に対象者を絞り込みました。
しかし単に団塊世代のみの絞り込みであれば、約800万人もの方が対象となってしまいます。その中には、マンションや賃貸住まいなど、戸建とは無関係の人も混じっています。
そこで、この企業様では、より対象者を絞り込むために、単に団塊世代というものではなく、特にターゲットとしている“現在戸建に住んでいて建替えを検討している団塊世代”というところまで絞り込みました。
ここまで絞り込むことによって、自社のターゲットにぴたりと当てはまる消費者の声を聞くことができます。
2つ目の注意すべき点は、インタビューする内容になります。
せっかく対象者が絞られていても、インタビュー内容が絞られていなければ、本当に把握したい深層心理を浮き彫りにすることはできません。
特に、グループインタビュー時間は長くても2時間程度ですので、1つでも的から外れたインタビューをするだけで、大きな無駄となってしまいます。
そこで、この企業様では、予め自社の売上データの推移を調べた上でWEBアンケートで簡易的な質問をし、インタビュー内容を絞り込みました。
売上データの推移からは、自社の売上減少要因が、展示場からの販売戸数の減少が最も起因していることがわかりました。
その一方で、WEBアンケートからは、家を購入するほとんどの人が展示場を訪問し、そこでどのメーカー(家)にするかを検討していることがわかりました。
その結果、グループインタビュー項目を、“展示場でメーカーを比較する際に検討すること”に絞り込んだのです。
このように、グループインタビューを行う際には、
● 本当にインタビューを行いたい対象者は誰なのか
● どのようなことをインタビューしたいのか
ということを、細かく決めた上で行うことが必要となります。
そうすることで、より効果的な結果が得られるようになるのです。
また、ときには付随的な効果も生まれます。
こちらは他の事例になるのですが、ある消費財メーカー様で起きたことです。
このメーカー様では、自社の商品を購入したお客様に対して、グループインタビューを行うことで、自社商品の強みを把握し、新商品開発へつなげようと考えていました。
そして、普段なかなかエンドユーザーと接することがなかったので、グループインタビューの様子を社員30名程度に見せることにしたのです。
そのことによって、エンドユーザーの生の声を聞いた社員のモチベーションが上がり、その後の新商品開発会議では、普段にはない様々な意見が飛びかったそうです。
このように、グループインタビューを効果的に用いることによって、顧客の本質的なニーズ、自社の強みややるべきことがはっきりと映し出されます。
また、上記メーカー様のように、社員のモチベーションが向上する思わぬ効果も生まれるかもしれません。
一度検討してみてはいかがでしょうか。