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問題点を明らかにする部下の行動管理とは[マーケティング戦略・営業戦略]

さて今号の私のテーマは行動管理についてです。

営業部門の実績を向上させようとする際には、売上や粗利、成約数といったゴールとしての指標(KGI:Key Goal Indicator)を管理することも大切ですが、それにいたるプロセスの指標(KPI:Key Process Indicator)の管理が大切だということについては、折に触れ述べてきました。
しかし、このKPIの管理であっても数値管理だけでは十分ではありません。
例えばソリューション営業を行う際、企画書を提出した顧客のうち見積書を提出する案件数の割合を「見積提出率」とした場合に、見積提出率という数値データだけを見ていてもKGIを向上させることは困難だということです。

KPI、ひいてはKGIを向上させるためには、メンバーの「行動管理」を行う必要があります。見積提出率を向上させるためには、指標を管理するだけではなく、個別具体的な案件について、それぞれの営業マンの行動をきちんと把握し、的確なアドバイスをすることによって、行動改善を促す必要があるからです。しかし、クライアント企業の営業部長に「行動管理が必要ですね」と申し上げると、大抵の部長は「月報(日報)を書かせて、営業会議でフォローしているから大丈夫だよ」とおっしゃいます。果たしてそうでしょうか?

結論を申し上げますと、一般的な月報や日報だけで行動特性を変革することは困難です。月報(日報)は、自分自身が実施したアクションを記載することはあっても、実施しなかったことや実施する機会に恵まれなかったことについては、ほぼ記載することがないからです。つまり営業マンは好むと好まざるにかかわらず、自分が起こした行動のみについてのみ月報(日報)を書くことが多く、上長の方もその記載内容に対してコメントしたり、ディスカッションのテーマにすることになるのです。書かれなかったことについてはお互いに語られることはまずありません。

これでは改善を前提とした行動管理を行っていることにはなりません。ディスカッションされない部分にこそ問題が内在するケースが多いからです。それではどうすればよいのでしょうか?それはKPIを向上するための行動項目をあらかじめ設定しておくことです。先の例で言えば、例えば「提案内容の適切さ」「決裁権者との良好な人間関係」「決裁権者への(提案内容の)十分な説明」「決裁権者の適切な理解」「決裁権者の十分な納得度合」などが挙げられます。このような行動が実践されて、はじめて見積提出率というKPIが向上していくと考えられますので、それぞれの行動が実践されたのかされなかったのか、あるいは実践された内容が的確であったのか否かなどを検証する必要があります。つまりこのような検証を行うためには、KPIを向上させるためのアクションについてあらかじめ設定されていなければならないのです。

このようにKPIを向上させる活動を列挙することで、その活動の有無やレベルなどについて、日報などで行動管理として把握し、上長やメンバー間で共有し適切なアドバイスを行うことによって、個人としての行動変革が実践されていき、メンバー全体、つまり組織としてもエンパワーメントされることになるのです。
(この記事は2008年4月11日に初掲載されたものです。)