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ネット & リアル

先日六本木ヒルズにあるグーグル日本法人にてGoogle Appsの使い方についての説明を受けた。メールで会議を収集し、WEB上で世界中からメンバーがあつまり、同じ画面上で作業をしていく。ドキュメントにしても表計算にしても、クラウド上で作業されているため、メンバーの誰かが変更した内容が共有して反映されていく。複数の人間が、それぞれ違うパソコンから、同じ画面で、共同作業ができる。

さらに、そのように作成した、例えばプレゼンテーションだったり、営業ツールだったり、議事録だったり、そういった成果物は、マイクロソフトのワードやエクセルに変換して保存することもできる。まさに、ネット上で、会議が完結してしまうのである。

しかし、グーグル日本法人の方は、「これだけ便利になったとしても、Face to Faceのミーティングにかなうものはない。」と言う。ネット上でのコミュニケーションが活発になればなるほど、Face to Faceでなければ解決できない論点も浮き彫りになっているのだと思われる。あくまでネット上の会議は、手段であり、目的ではないということを、痛感させられた。

ある消費財メーカーは、世界80カ国に代理店を保有しているが、今回、世界中の代理店と共通のWEBサイトを運営することになった。世界80カ国に対して、常に新製品情報などを同時発信できる仕組みである。しかし、主戦場であるヨーロッパやアメリカでは、日米欧の競合企業との競争が最大のテーマであり、アジアでは、低価格なローカルブランドとの競争が最大のテーマ、南アフリカではフェイク品対策、南米では並行輸入品対策となっているなど、各エリア、各国毎に論点が異なる。世界同一のWEBプロモーションが実現してから、ますます、個別代理店の論点を知り、コミュニケーションを密にする機会が高まったという。

ある世界的な展示会を運営する母体企業は、展示会の出展者と来場者のマッチングではなく、来場者と来場者をマッチングさせるための仕組みを構築した。もともと特定のテーマをもった展示会に来場する企業は、何らかの共通の論点を保有している。そういった企業が、その運営母体を通じて、自社のテーマおよび感心事項を登録をしておけば、同じテーマでそれぞれことなる利害関係を持つ、登録者同士でのビジネスマッチングを常時おこなうことができる。

一見、展示会とは関係のない動きのように思われるが、実は、それによって、逆に実際の展示会の価値が高まることになった。つまり、WEB上でコミュニケーションをしている登録者が、実際に会う場として、必然的にその1年に1回開催される展示会を選ぶことになった。展示会への来場者数は減るどころかむしろ増え、さらには、目的を明確にもった来場者数が増えたことにより、出展者にとっても、出展することのメリットが増したという相乗効果が現れたのである。

3.0時代は、インターネット空間を活用することで、つねにつながりを持ったコミュニティーでのマーケティングを実現することが可能である。そして、それにより、逆に、リアルな1対1でのコミュニケーションの重要性も、現実に増している。3.0時代を、ネット上のマルチラテラルなコミュニケーションのみと解釈し、そればかりに注力することは間違いである。

3.0時代で、常につながりを持つことができるようになったからこそ、ネットだけでは不十分な内容がより明確になり、リアルでのコミュニケーションの重要性が、増しているのである。3.0時代では、ネットとリアルの両方を尊重し、活用できる企業が、新しいビジネスモデルを創出していくことになるに違いない。