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メンバーに寄り添わなければ必ず失敗する

■ 「変化への対応」から「自ら変化する」へ
リーダーは組織に「変化」をもたらさなければなりません。1990年代初頭のバブル崩壊以降、「失われた10年」とか、「失われた20年」といわれる経済低迷期に入ったことは、ご存じのとおりですが、その原因について考えていただきたいのです。一般的には、景気動向や産業構造などが論点にされますが、じつは企業の体質に〝病巣〟があるという見方もできるのです。すなわち、多くの企業が「変化」することに、二の足を踏んだのです。

メンバーに寄り添わなければ必ず失敗します。そもそも、高度成長期からバブル期に至るまで、日本企業が躍進できたのは、市場そのものが拡大したからです。いわば、市場の拡大に引っ張られる形で、企業は「変化」してきました。それが結果的に、大きな成功を収めました。ところがバブル崩壊後、市場拡大という〝牽引役〟はいなくなったのです。むしろ、国内市場を対象にした事業の多くは、ライフサイクルが「安定期」に入り、身動きがつかなくなっています。では、どうすればいいのでしょうか? 答えは……。もう、おわかりでしょう。会社が自ら変化していくことです。言い方を換えれば、自らが「変化」を仕掛けていけば、一歩先をいくことができるのです。

■ 途中で諦めてしまうのがフツウ
 しかし、「変化」には大きなストレスが伴うのも事実です。成果が約束されないなかで、そのストレスに打ち克つことは容易ではないでしょう。そこで、リーダーとしてやらなければならないのは、メンバーに「寄り添う」ことです。そうしなければ、チャレンジングな目標に向かって走り続けることはできません。せっかく、つくり込んだ計画も頓挫してしまいます。「こんなことやっても、うまくいかないよ。やっぱり無理だな」。こうした声がメンバーから出てきたら、おしまいです。

■ 決定的に「会話の時間」が足りない
 しかし具体的には、どのように寄り添えばいいのでしょうか? じつは、単純なことです。メンバーとの会話の時間をしっかり確保しましょう。 メンバーは、早々に「結果」が出るものだと考えがちです。極端なことをいえば、「その日」のうちに、あるいは「1週間以内」に、遅くとも「1カ月以内」には、なんらかの成果があると信じています。

ところが実際には、そう簡単にコトが運ぶわけではありません。そこで、リーダーは、ことあるごとにメンバーに声をかけ、「前進感」を認識させる必要があります。「オマエ、今日はどうだった?」。この一言があるかないかで、チームの動きは大きく変わります。ところが、若手リーダーの多くは部下の「叱り方」や「ほめ方」といった〝話術〟には神経質になる反面、メンバーと会話する「時間」をおろそかにしているのです。

■ コミュニケーションが行動の「質」を上げる
太平洋戦争で連合艦隊司令長官を務めた山本五十六は、組織のパフォーマンスを上げるには、いかにコミュニケーションが重要であるかを熟知していました。絶大な指揮権をもち、命令ひとつで部下は前線に身を投じたはずですが、それでもなお、部下とのコミュニケーションを大切にしたのです。そのことは、山本が残した数多くの名言に見ることができます。

■山本五十六の名言
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
※次のフレーズが続く
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

川原 慎也著書「リーダーシップで面白いほど結果が出る本」4月26日あさ出版より発売