毎日出てくるメダリストのおかげで、盛り上がっているロンドン五輪。
「結果」には様々な要因があり、決してコントロールできるものでは無いわけだが、当然、予想よりも良い結果を出した選手と、残念ながら良い結果を出せなかった選手がいる。
以前にも本コラムで書いた(『“結果”に捉われてしまうから“パフォーマンス”が下がる』)が、あまりにも結果を求め過ぎてしまうがあまり、そもそも持っている力を出し切れないようなケースがやはりあるのだろうと感じる場面も多々あった。
例えば、大きな期待をかけられながら思うような結果が出せなかった柔道は、典型的な事例かもしれない。「日本の国技である柔道で、金メダルは○個以上」といった目標を掲げることになるし、そこにいる選手たちも「金メダルじゃなきゃ意味が無い」と、大きなプレッシャーを自らにかけている。
プレッシャーに打ち勝って、結果を出すからこそ価値があるんだ、といった意見もあるとは思うが、プレッシャーで「持てる力の半分も出せなかった」よりも、「持てる力を100%発揮してやり切った」という状況であって欲しいと思う。
そういう意味で、バドミントン女子ダブルスで日本初の銀メダルを獲得した、藤井・垣岩ペアのコメントが象徴的だった。
「五輪を自分達らしく楽しむことができたら、結果がついてくると信じて戦った」
「二人で楽しく笑顔でできたらいいね、と話し合っていた」
「楽しむ」や「笑顔で」といったコメントを聞くと、「そんな軽い気持ちじゃ勝てない」といった意見も出てきたりしますが、これは、「楽しむ」と考えたり、「笑顔」をつくることで、自分たちのパフォーマンスを最大限発揮できる心の状態を作る、ということだ。
事実、残念ながら敗れてしまった決勝戦でも、緊張のあまりあっさり取られてしまった1セット目と、心の状態を作り直して大接戦を演じた2セット目では、まるで別のチームのように切り替わっていた。
アーチェリー男子個人で銀メダルを獲得した古川選手も同様だ。
「力みすぎて初戦敗退してしまった北京五輪の悔しさを思い出して、結果を気にせずに平常心で戦うことに集中した。特に準決勝あたりは、リラックスして楽しめた」
五輪に出場するレベルの選手たちは、全てを投げ打ってそれぞれの競技に打ち込んでいる。だからこそ、心の状態をコントロールすることで、その瞬間に悔いのないパフォーマンスを発揮してもらいたいと思う。
そして、ビジネスに携わる私たちも、良いところはどんどん取り入れることが大切だ。
「笑顔でいる方が、パフォーマンスが上がる」
「感謝の気持ちを大切にしている方が、パフォーマンスが上がる」
些細なことだし、当たり前のことだが、こんなことに気づくだけで、自分のパフォーマンスが上がったり、会社のパフォーマンスが上がったりする、ならば積極的に取り組むべきだ。