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新入社員とのコミュニケーションのあり方

毎年取り沙汰されるテーマの一つに「五月病」があります。明確に発症していれば、対処も容易なのですが、潜伏期間とも言うべき「擬似五月病」の段階で対処していくことが必要になりつつあります。

■ 擬似五月病

先日、お付き合いさせていただいているクライアントの新入社員(A氏とします)とじっくり話す機会を持ったときのことです。

A氏は入社当初から同期入社の中でも最も成績がよく、素直で将来有望と評判の社員だったのですが、実際に話してみるとなにやら元気がなく、不満そうな様子でした。

そこで、業務が一段落した後に外へ連れ出し、話を聞いてみた所先輩社員Bに複数の業務を依頼され、一緒にこれまでやっていたものの、

●(B先輩は)口を開けば「いつまでにできる」「○○の進捗はどう?」と聞いてくるのが、ストレスだ。
●依頼された作業を終えて提出したが、その結果がどうなったのかフィードバックがされず、提出するまでは頻繁に話しかけてきたのに、提出後はさっぱり声もかけてこない。

つまり、「自分はただの使い捨てで、作業(依頼業務)さえ終えればそれでおしまいだと思われているのではないか?」と言うのです。

その後先輩であるB氏の元へ行き、新入社員Aの評価を聞くことにしました。
すると、

●指定した期日直前になっても経過報告が全くなく
●期日を過ぎても連絡がないため、しびれを切らしてこちらが聞くと悪びれずに「まだできていない」といい、いつまでに終わるかの目安も話さない。
●やっと完了の連絡が来たが、「終わりました」とのメールだけで、「これでよいか?」「修正点はないか?」という言葉もない。

つまり、B氏としては
「本当に業務に対する責任感があるならば、期日までに仕上げるよう事前に報・連・相があるはず」
だし、
「仮に期日に間に合いそうになくても、自分から言ってくるべき」
であり、
「業務に興味を持っているなら、結果がどうなったか気になって質問してくるはず」
なのに、それをしてこないのは、仕事に対するスタンスがなっていない、と考えていることが判明しました。

■ すれ違う「報・連・相」?

さて、どの会社でもありがちな今回のケースですが、このメルマガの読者層の皆様は先輩B氏に、より共感しやすいのではないでしょうか?そして、改善策として以下のような案を考えられることと思います。

(1)Aが目的意識を持てるよう、業務を依頼する際には「そもそもどんな目的があるのか」「ゴールイメージは具体的にどのようなものか」「その業務を経ることによって、A氏にどのようなメリット(成長やスキル)があるか」を伝える
(2)先輩BがAに業務に対するスタンスを説明し、具体的にAがどう行動すべきか(まめな進捗報告・結果の確認)をきちんと認識させる
(3)コミュニケーションの頻度を上げるために、事前にルールを作る(例:2日間に1回報告をする等)

ほんの数年前までであれば、おそらく上記の方法で両者の問題は解決されたでしょう。現実的に先輩B氏は上記のような対処方法を解決方法として提示されました。

A氏の擬似五月病を見ている感覚では、上記対処方法が効果を発揮するとは思えなかったため、上記の方法をA氏に話し、この対処方法で改善できるか否かを確認してみると、危惧した通り、答えは「NO」でした。

■ 自己評価<他者評価

A氏曰く、
「自己成長やスキルも必要だけど、一朝一夕では身につかないし、目に見えない」
「ありがとうと一言言ってもらえれば報われるのに……なんのためにやっているのかわからない」

つまり、A氏が求めていたものは、「感謝とねぎらいの言葉」という、『客観的な自分へのプラス評価』だったのです。

これまで新入社員のマネジメントとしては、「強いリーダーシップと飲みニュケーション」で解決していた問題が、そのうち「目標と目標達成のための具体的なアクションの設定」までサポートしなければならず、いまや「新人への期待の言葉と客観的なプラス評価」が必要になってきています。

ここまでの手厚いサポートはなかなか困難であり、そこまでやる必要があるのか? という議論はあります。しかしながら、発症してしまっては間に合わないのです。潜伏期間に対処しておくことで一定の予防効果が期待できるのであれば、マネジメントする立場として取り組むべきことなのではないでしょうか。

かつては新人類といわれた世代がマネジメントをしなければならない時代が訪れています。彼らが新入社員であった時も、そこまでやるのかという議論が繰り返され、「飲みニュケーション」から「目標と目標達成のための具体的なアクションの設定」に発展していったのです。

時代とともに、新入社員に対するマネジメントのあり方も進化させていくことが期待されていると考えましょう。