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顧客データから業績向上施策へのヒントを得る

皆様の会社は“今”の売上を形成しているお客様の現状をしっかりと把握していますでしょうか。現在売上が増加している(あるいは減少している)要因がどこにあるのか明確に把握していれば、更に伸ばす(あるいは下げ止める)ための最も効率的な施策が見えてきます。

経済不況の中、なかなか新規客が獲得できない状況が多くの企業様で見受けられます。そのような中、数年前からいかに既存客を囲い込み、安定した売上を確保できるかが焦点となってきています。

その囲い込みの代表的な方法が自社のカード会員化でしょう。日々の消耗品を扱うコンビニでさえも来店客に対して会員化を勧めているのは、皆様も実体験として感じているのではないでしょうか。

そのような状況の中、今回お伝えするのは一つの考え方に過ぎませんが、既存客に対して効率的に施策を打つために、顧客データを用いた分析方法・考え方をある地方で展開しているチェーン店の事例を踏まえてお伝えしたいと思います。
【売上=客数×客単価】

売上とは、皆様もご存知の通り「客数×客単価」で表せます。売上を客数と客単価に分解することで、現在の売上減少(あるいは増加)が起こっている要因が客数の減少と客単価の減少のどちらのインパクトが大きいのかを把握することができます。

ほとんどの小売業における現在の売上減少は、客数の減少によるところが大きいと思います。だからこそ、その客数を上げるために各社会員化を勧めているという状況です。

しかし、この「客数×客単価」に分解しただけでは施策まで落とし込むことはできません。どうすれば客数が上がるのか、客単価の減少を食い止めることができるのかは、更に分解することが必要です。

例えば、客数は「既存客+新規客-離反客」や「入店客数×買上率」等に分けられます。また、客単価は「買上点数×商品単価」等に分けられます。更に、住所や年齢、年間購入額等のデータがあれば、それぞれの項目ごとにセグメントをすることで、更に細かく分類することができます。

もちろん、保持している顧客データによって分解できる要素は決まってきてしまいますが、上記だけでも十分な分析ができます。

細かく分類する際に注意することが一つだけあります。それは、大きなところから捉えていくということです。

いきなり「売上=(入店客数×買上率)×(買上点数×商品単価)」に分けてしまうと、売上減少の主要因がぼやけてしまいます。

まずは、客数が減少しているのか、客単価が減少しているのかを把握し、それぞれのインパクトを算出します。その後に細かく分類していき、コアとなる要因を見出します。

そのように上から順番に落としこむことによって、「売上減少している要因は主に客単価減によるもので、そのうちの8割は20代の買上率減少による」というように導き出されます。
【あるチェーン店の事例】

地方で展開しているあるチェーン店においても売上が減少している状況が続いていました。
全客数の約5割を占める会員顧客のデータを分析していくと、地元の一番企業であることもあり、客数の減少は大きくはないものの、客単価の減少が著しいことがわかりました。

しかし、その後更に細かく要素に分けていった結果、主な売上減少の要因は60代以上の高齢層の入店客数と買上点数減少によるものでした。要するに、今までの主要顧客層であり共に地域をつくり上げてきた顧客層が高齢化することで、「行きたくても行けない」、あるいは「買いたくても生活水準が下がり(年金暮らし等)買えない」といった状況となっていたのです。

しかし、その一方で、伸びているセグメントもありました。それは、10代、20代の客数(特に入店客数)の増加です。しかし、客単価は低く売上に対するインパクトは小さい状況でした。

そこで、このチェーン店においては、今後ますます減少してしまう高齢層ではなく、客単価は低いが客数が伸びている、長期的に見たときの今後の主要顧客となる若年層に絞った商品・販促企画を検討することにしました。

もし、詳細に顧客データを落とし込んでいかなければ、単に現在の主要顧客層であるは高齢者に対して、その層をターゲットにした商品展開や販促を行っていたかもしれません。現に今まではそうでした。
このように、顧客データには、具体的な施策まで落とし込めるヒントが詰まっています。

今回のケースでは、既存客の状況のみを見ただけですが、ここに新規客(現在自社ユーザでない客)の状況もアンケート等で加味することで、本当にインパクトのある打ち手が明確になり、限られた資源を効率的に使って成果につなげることが出来うる企業はまだまだたくさんあるのではないかと思います。