■ 2009年は歴史的転換点
2009年も後、数日で終わりを告げようとしている。振り返ると、2009年は歴史的に見ても大きな転換点となるような1年だったのではないだろうか。
前年の9月にリーマンショックが起こって以来、未曾有の不況が世界経済を席巻した2009年。世界の主要な国々は、一斉に矢継ぎ早な景気刺激策を実施し、何とか二番底を避けようと努力し続けた。昨今、やっとその結果が少しずつ見え始めているといったところではないだろうか。
日本に目を向ければ、実に54年ぶりに政権交代が起こった。所謂55年体制から、初めて脱却した意義は大きい。その鳩山政権も、新内閣発足後100日が経過しようとする今、普天間基地移設の問題や、暫定税率の廃止問題、子供手当ての所得制限の有無など、マニフェストとの整合性、鳩山総理のリーダーシップ、政治資金をめぐる偽装献金問題等により、支持率は低下傾向にある。
その影響もあってか、ここに来て、世界経済の堅調な回復に相反するように、日本経済においては、GDPや株価の推移を見ても力強さにかけ、二番底さえ予見させるような状況にあるといえる。
■ デフレ対応型企業が躍進
我が国おいては、このような政治的状況に加え、今年はデフレが更に深刻化した年でもあった。GDPデフレーターは減少しつづけ、デフレギャップは拡大。私どもが携わるコンサルティングシーンにおいても、業界を問わず「デフレ対応型の商品」が大きく躍進した。ユニクロやニトリがその代表と言えよう。
ただし安さ訴求を実現するためには、当然それ以上の客数が増えなければ、売上・利益の拡大はあり得ない。消費者の財布の紐が硬くなる中、安易な値下げは逆効果。不況期対応型、デフレ対応型のマーケティング戦略の構築と実行が求められた。
例えば価格設定、例えば集客手法、例えば品揃え、など、デフレ化にはデフレ化における消費者心理を反映させた4Pの構築が必要不可欠であるといえる。実は、そこに気づき実践した企業は、今年も素晴らしい業績を上げている。いやむしろ、周りが低迷する分、需要を一手に囲い込み、07年や08年以上の成長を実現している企業さえ多く存在するのだ。
■ 2010年も時流を予測し、それに対応した企業が勝ち残る
2010年も我が国においてはマクロ経済レベルでは、厳しい1年が続くというのが大筋の予測である。デフレの解消も一筋縄ではいかないであろう。今年の年末の状況を見ると、少なくとも上半期は、政治も経済も不安定な1年が続く可能性が高い。
我々はこのような状況を予測した上で、覚悟を決め、それに対応した戦略を構築し、実践していく必要があるといえよう。今年の成功企業の例を見るまでもなく、そのような戦略を実践してきた企業の2010年の展望は明るい。
そういう意味で、来年は今まで以上に、[1]時流を予測する力、[2]その時流に適応した戦略を構築する力、そして、それらを[3]実践する力の3つの力が大きく業績を左右する1年となるであろう。厳しい年であるからこそ、企業の本当の力が試される年である。
我々も来年は、この3つの力を実践する企業にとってのスーパーサポーター的役割を担えるとすれば幸いである。
(この記事は2009年12月25日に初掲載されたものです。)