近年M&Aが非常に流行しておりまして、弊社にも「企業を買いたい」「企業を売りたい」と云うご相談をよくいただきます。もちろん、買う側はより安く、売る側はより高く価値設定を行いたいと考えるのですが、よくある事象に「売る側の企業の想定している企業価値が高すぎる」というものがあります。
もちろん、いままで手塩にかけて経営してきた会社なのですがら、愛着もあるでしょう。企業と売るというのは、我が子を手放すような気持ちになるのかもしれません。
ほかにも、「売る側」の方の中には、企業価値そのものはまず置いておいて「売るなら◯◯円くらい欲しい」と考えていらしゃる方も多くいます。「現在の役員報酬の◯年分はないと」「純資産の◯割はのれん代としてほしい」などの要望がそれに当たります。
しかしその要望をベースにM&Aの仲介を行う企業へ相談しても、いい返事をもらいにくい場合があります。引退を考える直前にそのような状態になってしまうと、売ろうにも売れないというのが正直な感想になるのではないでしょうか。
M&Aを行う際に事前に考えたいのが、まず、ざっくりとでもいいから自分の企業の価値を把握しておくこと。そして、売却する際に後悔のない価格算定が行われるよう目標を設定し、企業価値を計画的に高めることです。
弊社のお客様にもそのような方がいらっしゃいました。ビジネスホテルを経営している会社様なのですが、近隣に大手のビジネスホテルができてしまい、客足が遠のいているとのこと。社長様は自分の年齢も考え、会社を売却したいとの相談をいただきました。
しかし、現状の売却だと近隣の競合の存在は脅威とみられます。実際、その要因によって企業価値が低く見積もられてしまっていました。そこで船井総研として「2年間売り上げを落とさずに経営を続ければ、競合にも負けない企業体質であることが証明できます。そうすればより高い価格で売却することが可能ですよ。」と提案させていただきました。
我々はM&A業務も行なっていますが、経営コンサルティングに大きな強みを持っています。単に価値算定を行い、売却手続きをするだけではなく、業績アップの提案を実行していただく事で、企業様の価値向上に貢献することも可能です。
その社長様には我々のご提案を受け入れていただき、無事2年間売上を維持することができました。当初の提示より高い価格で売却をすることができたのは言うまでもありません。
大切なのは、まず自社の企業価値を把握しておくこと。M&Aで企業売却を行う可能性があるとお考えの方は、その金額感をざっくり把握するだけでも、おもしろいと思います。