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【事例から学ぶ】顧客の声の有効活用における3つの要件[マーケティング戦略・営業戦略]

今回、ご紹介する企業事例(サービス業/「B企業」)は、「顧客の声の有効活用」といったテーマとなります。
顧客の声とは、ユーザーの生の声のことであり、消費者の反響を意味します。
しかし、この有益な情報を活用しきれず、各店舗に任せきりである多店舗展開企業が多く見受けられるのが現状です。B企業が他の多店舗展開企業と異なり、この有益情報を活用できているのには、以下の3つの要件が挙げられます。

【顧客の声の有効活用における3つの要件】
1.情報共有インフラの整備(情報の本部集約~各店舗への改善内容の伝達)
2.情報の分析
3.CS改善体制の構築

では、それぞれの要件について、説明していきたいと思います。

1.情報共有インフラの整備(情報の本部集約~各店舗への改善内容の伝達)
B社が収集している顧客の声としての情報は、①お客様からの電話や店舗への直接的なご意見、②各店舗で実施しているアンケートからのご意見、③HPに寄せられるご意見、の3種類となります。

<顧客情報の本部集約>
③HP経由での顧客情報については、電子データであるためシステム処理されますが、それ以外の情報(①②)に関しては、各店舗スタッフの手により、専用端末に入力されている状況です。これにより、各店舗で収集した顧客関連情報が本部へ集約することが可能となります。
<各店舗への改善指示内容の伝達(店舗からの改善報告)>
3種類の情報が本部に集約され、それらを分析することで、全体傾向を明らかにします。その内容を随時各店舗へ情報を伝達していきますが、この企業では傾向としての分析結果だけでなく、店舗ごとの分析および改善策までを提示しているところが特徴です。また、店舗には本部への改善(経過)報告の義務があり、結果報告内容も本部に管理される仕組みとなっています。

2.情報の分析(INDEXの活用)
先ほどお伝えしたB企業の特徴でもある、各店舗に伝達される改善策の元となる顧客情報分析はどのように行っているのでしょうか。
これには、情報整理のための「INDEXの活用」が大きなポイントとなり、店舗全体、ブランドごと、店舗ごとの経年傾向や、キャンペーン時のレスポンス傾向、クレーム傾向などの様々な分析を可能としています。
B企業では、お客様から寄せられる様々な情報を、何についての意見であるのか、対象の種類ごとに分類しています(対象の分類)。
そして、その意見についての「良い」「悪い」といった評価(評価大分類)から、詳細内容についての分類(評価小分類)が存在しており、現場スタッフの入力の際には、そのガイドラインに従って内容が分類されています。そのため、本部に集約された情報は、INDEXごとに数値分析が可能な状態となるのです。つまり、定性的な顧客の声を可能な限り、定量化できるよう、情報分類していることが重要なポイントとなります。

3.CS改善体制の構築
B企業では、「本部CS改善計画室」、ブランドごとの「ブランドCS改善計画室」、店舗ごとの「店舗CS改善実行委員会」といったCS関連施策を推進する組織がそれぞれの本部、店舗に存在します。
上記分析から得られた結果を基に、以下の流れで改善策の指示、実行が行われます。
① 全体に関わる内容
「本部CS改善計画室」⇒「店舗CS改善実行委員会」
② ブランドに関わる内容
「本部CS改善計画室」⇒「ブランドCS改善計画室」⇒「店舗CS改善実行委員会」
③ 各店舗に関わる内容
本部CS改善計画室担当者(本部協議無し)⇒「店舗CS改善実行委員会」
これらは全て、実施状況についての報告義務があり、「店舗CS改善実行委員会」
の担当者からの報告がなされ、また、本部に情報が蓄積される仕組みとなっています。

今回ご紹介しましたB企業は、サービス業という業種柄、「お客様評価」があってこそ成り立つ企業だという考えが全社に浸透しており、お客様の声を有効活用する、といったことに関する取り組みが徹底されやすく、「お客様評価」に軸を置いた企業活動を可能にしたものと考えられます。

自社の「お客様の声」には、どのような内容がありますか?
「お客様の声」の有効活用の際に、以上の取組みをご参考にしていただければと思います。
(この記事は2008年6月9日に初掲載されたものです。)