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組織力強化に必要不可欠な2つのポイント(2)

こんにちは、船井総合研究所の川原慎也です。

前回、“組織力強化”に必要不可欠なポイントとして『HRM』(人的資源管理)と『OB』(組織行動)について説明させていただきました。
おかげさまでたくさんの方々から感想やご意見をいただいておりますが、特に『OB』の考え方や進め方に関する質問が多かったように思いますので、私なりの考え方を補足させていただきます。

“組織力強化”を具現化するためには、『HRM』と『OB』の両輪をバランスよく走らせることがポイントとなります。よって基本的な考え方としては、「『HRM』を効果的に運用するための『OB』」であり、「『OB』を引き出すための『HRM』」であることを念頭において設計することが大切です。
ただし、これにとらわれすぎて組織変革に向けたアクションが進まないのでは本末転倒です。そのような場合は、まず『OB』に関するアクションを進めていくことです。なかでも、“コミュニケーション”に関しては、すでに問題が顕在化しているケースが多いので、優先的に取り組むべきだと思います。

“コミュニケーション”は、戦略を現場に浸透させるために、上下(幹部と部下)の認識の共有化のために、あるいは横(部門間)の連携強化のために、最も重要な要素であることは言うまでもないでしょう。ただし、そういったことを重々理解している企業においても、なかなかベストな状況を作り出せていないのが“コミュニケーション”の特徴であることも事実です。今回は、この原因である2つのポイントに対して、すぐに実践できる解決の方向性を考えてみたいと思います。

ひとつは“コミュニケーション”を会社全体の仕組みとしてしか捉えていないことです。戦略を現場に浸透させることを目的とした「幹部会議」の設置、幹部と部下の認識共有化を目的とした「部門会議」の設置、のようなカタチで仕組みだけは整えるのですが、本来の目的は果たせずに連絡事項の伝達で終わってしまっているケースが目立ちます。多くの企業がこのような状況に陥ってしまっている結果、上手な会議のやり方のような本が売れたりするのだと思いますが、問題は会議のやり方なのでしょうか?
「会議」という形式をとる場合、会議の主催者である社長対複数の幹部、あるいは部長対複数の部下という【場】の設定になり、その場合にできうる“コミュニケーション”は限定的になることを理解する必要があります。即ち、戦略を現場に浸透させることを目的と考える場合、企業全体の仕組みとしての「会
議」だけでは明らかに不足しており、合わせて【1対1】あるいは【1対少数】の“コミュニケーション”の【場】を意識的に設けることが必要だということです。こういった【場】で、戦略に対する理解度の確認や、それを実現するための具体的なアクションについての認識を深めていくことが本来の目的を達成することにつながるのではないでしょうか。

もうひとつは、“コミュニケーション”の必要性に対する認識のズレです。いわゆるビヘイビアの部分になるのかも知れません。
「さすがにこのことについて部下は理解しているだろう」というタイプと「徹底的に確認しなければ部下との理解度は共有しない」というタイプでは圧倒的に前者が多いように思いますが、この必要性に対する認識を後者のタイプの考え方におくことが必要です。「クライアント先にヒアリングにいった後に部下の作成した議事録のポイントがずれている」「同じ本を読んだのに注目しているポイントが違う」というように、同じものを見たり聞いたりしているのに理解度が全く異なっていたという経験はありませんか?
これまでに積み上げてきた知識も違えば経験も異なるのですから、これはある意味当然のことだと考えなければいけません。そう考えれば、「クライアントはこう言ってたけど、君はどう考えた?」「この本について自分はこういう感想を持ったけど、君の感想は?」という具合に、その都度の“コミュニケーション”を常識としてとっていくことは不可欠だと思います。

“コミュニケーション”において重要な「仕組み以外の【場】の設定」および「常識化させるべきビヘイビア」は、後の『HRM』と『OB』を定着化させる段階で大きな武器になります。
これを機会にあらためてチェックしていただければと思います。