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組織力強化に必要不可欠な2つのポイント(1)

こんにちは、船井総合研究所の川原慎也です。

最近特にご依頼の増えてきたコンサルティングのテーマとして、“組織力強化”があげられます。船井総研を以前からご存知の方々は、特に流通業のマーケティングに強いというイメージを持たれている傾向がある(船井総合研究所に変更する前の社名は、日本マーケティングセンターでした)ため、このようなマネジメント系のコンサルティングを展開していることをイメージできない方もいらっしゃるようです。

このHPを読み込んでいただいている方はご存知だと思いますが、私どものコンサルティングの基本コンセプトは【戦略構築】→【実行戦略策定】→【戦略の展開】→【戦略の定着】の各フェーズをきめ細かく押さえて「戦略の具現化」までサポートすることです。

その中でも【実行戦略策定】は特に評価をいただいているポイントだと思いますが、このフェーズで最も考えなければならないのが“人と組織”に関することになります。つまり“組織力強化”は、私ども戦略コンサルティンググループのコンサルティングを実践する上で必要不可欠なテーマでもあり、結果としてノウハウが蓄積されたことはある意味必然だと言えるのかもしれません。

さて、今回はその“組織力強化”を実施する上で、企業の陥りやすい失敗(位置づけと落とし込み)についてお伝えしたいと思います。

まずひとつは、企業戦略における“組織力強化”の位置づけです。アルフレッド・チャンドラーの著書にもあるように『組織は戦略に従う』を前提に考えるのが、本来あるべき姿だと思います。つまり位置づけとしては、会社をどの方向に動かしていくのかという明確なマップ(マーケティング戦略)がまず先にあり、それをどのような枠組み(組織)で実行していくのかという意味でマネジメント戦略がサポートしているということになるでしょう。

おそらく、この考え方に関しては多くの方が理解していただいているのですが、いざ“組織力強化”というテーマを課せられた段階においては、どんどん視野が狭くなる傾向にあるようです。

「上司と部下のコミュニケーションに問題があるから、まず上司にコーチングを習得させるべきだ」、「営業と開発、営業と生産といった部門間の壁が障害になっているから、合同の会議を増やすべきだ、また、部門間の人事交流も図るべきだ」、「優秀な人材のモチベーションを上げるために、成果主義を徹底するべきだ」といった個々の問題に対する対処に議論が集中してしまい、本来の目的を棚上げしてしまうのです。

“組織力強化”のテーマを担当する部門としては人事部門が多いと思いますが、まず人事部門が通常の業務範囲(ラインをサポートするという意識)を超えた戦略的な視点で、トップを巻き込んでいくといった動きが必要になってくるのではないでしょうか。

もうひとつは、“組織力強化”の現場レベルへの落とし込みです。この段階で必要不可欠なポイントとして、『HRM』(人的資源管理)と『OB』(組織行動)があります。『HRM』には、人材の採用や教育、給与体系や評価制度といったものが、『OB』には、モチベーションやコミュニケーション、リーダーシップといったものが当てはまります。

つまり、この『HRM』と『OB』は、“組織力強化”を具現化するための両輪として考えるべきものだといえます。しかしながら、『OB』はそもそも実行、管理しづらいという特徴があるため、深く議論されることがないまま『HRM』だけが先行してしまうケースが非常に多いのです。

“組織力強化”のテーマにおいても強い企業のベンチマークをしますが、目に見える『HRM』だけを真似てみたところで何の効果も無いというのは、多くの企業の失敗事例からも学ぶことができます。

本当にベンチマークすべきポイントは、その企業の社員の仕事に対するモチベーションを支えている要素は何か、どのようなリーダーシップが発揮されていて、それを可能にしている仕組みは何かといった『HRM』と『OB』を上手くまわすようにデザインされた関連マップであり、それを自社に置き換える場合のポイントを考え抜くことだと言えるでしょう。

“組織”を考える上で、上記2点はぜひ押さえていただきたいと思います。

※HRM:Human Resource Management
 OB:Organization Behavior