1次データのリサーチ手法の一つである「グループインタビュー」について、お伝えします。
「グループインタビュー」とは、複数人(船井総研では1グループ5~6人を推奨)の対象者を集めて、あるテーマについて座談会形式で各人の意見を深く聞いていく手法です。
目的としては、対象者(通常は顧客)の声をダイレクトに収集することであり、自店(自社)や取扱商品・サービスに対する意見、または新商品開発のヒントの収集(該当商品の利用動向や利用意向、ターゲットのライフスタイル等)などに用いられることが一般的です。
そこまでしなくても、アンケート調査で顧客の声を収集すれば、十分ではないか、との意見もあろうかと思いますが、定型のフォーマットに記入をしてもらうだけでは、深い意見を聞きだすことは困難というケースが多いのも事実です。
ただ、アンケート調査には、多くの消費者に安価で効率よくタッチできるというメリットがあります。そのため、船井総研では、アンケート調査を活用し、全体的な傾向を定量的に把握し、それらの回答をもとにリクルーティングした対象者に対してグループインタビューを行うというアプローチをとります。
また、一回の「グループインタビュー」と同程度の時間(2時間前後)を使い、1対1の面接形式で深い意見を聞いていく「デプスインタビュー」と比較すると、「グループインタビュー」のメリットとしては、大きく以下の3点が挙げられます。
①低コストで行える
②短期間で調査できる
③グループ・ダイナミクス(相互作用、影響)が働く
一度に複数人の意見を聞けるため、個別に行うよりも効率が良いため、①②については、ご納得いただけると思います。
③については、周りに影響されると結果がぶれてしまうのではないかとの意見もあろうかと思いますが、このグループ・ダイナミクスが働くことこそが、グループインタビューの最大の特徴であり、メリットであるのです。
確かにテーマに対して正反対の意見を持った方々が混在した集団だと、建設的な会話ができずに自身の意見を必要以上に主張したり、他者の意見を否定したりといった傾向が見られることが多くなります。しかし、テーマに対する考えや属性などが近しい集団であれば、他者の意見を聞いたり、意見の同調によって、深い意見交換や個人では浮かばないような新しいアイディアの創造につながります。
上記メリットを最大限に引き出すためには、「リクルーティング」が重要な要素となります。コストや時間、対象者のデータベースなど様々な制約がある中で、どのような対象者のグルーピングで、何グループ実施するのかといった部分で、コンサルティング会社やリサーチ会社としての実力が表れてくるのではないでしょうか。
たとえば、商品・サービスについてのグループインタビューを行う際は、基本的に以下の4つのセグメントで考えます。
①愛用者:対象商品を愛用している人
②離反者:対象商品の購入経験はあるものの、現在利用していない人
③利用意向者:対象商品を購入しようと考えている人
④競合愛用者:競合商品を愛用している人
上記のようなセグメントごとに実施し、それぞれのグループの意見はどのような特徴が見られるのか、その意見の違いの根本的な原因はどのようなことか、といったことを結果から分析していくことで有効な調査が可能となるのです。
(この記事は2008年5月7日に初掲載されたものです。)