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夏の節電が働き方と企業を変える!? スーパークールビズは消費押し上げの起爆剤となるか(前編)

東日本で電力不足が予想される2011年の夏は、節電のため室内の設定温度が上がり、例年以上に暑い夏となりそうです。そうしたなかで、クールビズに関連した商品が好調な動きを見せています。

さらに環境省は、節電対策として、従来のクールビズより一層のカジュアル化を認める「スーパークールビズ」(別名:節電ビズ)を打ち出しました。6月からさまざまな職場でカジュアルな格好で働く人々を見かける機会が増えそうです。

では、スーパークールビズとは何なのか。
今までのクールビズとはどこがちがうのか。

今回は、スーパークールビズというトレンドに対して各企業がどのような対応をして商機に結び付けようとしているのかを探ります。


◆「スーパークールビズ」はクールビズと何が違うのか

百貨店やアパレル専門店などのアイテム別の売上を見てみると、スーパークールビズ関連商品が好調です。

私のクライアント企業では、

・半袖シャツの売上が前年比20%アップ(カジュアル系専門店A社) ・カジュアルバッグ、靴、ハンカチなどの売上が絶好調(都心型アパレル専門店B社) ・チノパン、ジーンズなどの売れ行きが伸びてきた(カジュアル系SPA企業C社) ・ポロシャツの売上が前年比40%アップ(都心型百貨店D社)

などの「スーパークールビズ効果」が出始めています。このことからも、スーパークールビズへの注目度の高さが見て取れます。

では、スーパークールビズとは一体どんなものなのでしょうか。これまでのクールビズとは、どうちがうのでしょうか。環境省では6月1日から、まず省内にてスーパークールビズを導入し、普及に向けて本格的に動き出しました。三越日本橋本店でもイベントを開き、全国的なトレンドにしようと動きを強めています。

同省によるとスーパークールビズとは、従来からの28℃の室温設定、ノー上着の奨励などに加えて、「更なる軽装の奨励」「勤務時間の朝型シフト」といったものを指します。その内容を私なりにまとめたものが下記の表です。



一言で言えば、スーパークールビズは「節電」を徹底するための取り組みであり、クールビズよりも、一歩踏み込んだ具体的な提案になっています。

そして、2011年の夏の電力については、大口の電力利用者(工場など)は25%削減 家庭でも15~20%削減という具体的な数値目標が出されています。2011年は「みんなで節電に協力しなければ大変ことになる」という意識が国民の間で非常に強く、オフィスでも家庭でもできるだけ節電に協力しようと思っている方が多いことでしょう。そこで、環境省も具体的にアイテム名まで出すなどしてさまざまなスタイルを提案しているのです。

このように、東日本大震災を受けて消費者の意識が大きく変わっていることが、これまでのクールビズとスーパークールビズの一番大きな違いと言えるでしょう。(参照;3.11 歴史的な価値観大転換の日 その1


◆スーパークールビズはワークスタイルにも変化をもたらす

クールビズの推奨が始まったのは2005年でした。もともとこの言葉は和製英語で、環境省が提唱する「夏のビジネス用軽装」の愛称です。

環境省が提唱していることでお分かりのとおり、この取り組みの本来の趣旨は、地球温暖化という世界的な問題に身近なところから取り組もうというものでした。その中で、夏のファッションについても見直そうということで出てきたキーワードが「クールビズファッション」です。

ビズはビジネス(business)の略。クール(cool)に「イケてる」「格好良い」と「涼しい」の意味をもたせているという点がポイントでした。

そして、「職場の冷房を28度に保った状態で、涼しく格好良く働ける服装」を心掛けましょうと提唱しています。2005年当時は「地球温暖化を防ごう」「夏の暑さが異常なので、すこしは軽やかに仕事できるようにしよう」という軽い感じだったことは間違いありません。

しかし、今年は「震災の影響で節電をしなければならない。出来る限りやれることをやろう」という心理状態に多くの国民がなっており、先ほど述べたように取り組みも具体性が増しています。

そして、ファッションの変化を1つのきっかけに、仕事の仕方や設備、環境なども含めて、あらゆることを見直そうという流れが非常に強まっています。つまり、ファッションだけではなく、ライフスタイル、ビジネススタイルそのものを切り替えていくという点が今回提唱されているスーパークールビズの一番の目玉なのです。

ですから今後は、服装だけでなく、オフィス環境への投資、ワークスタイルの変化など、目に見えるさまざまなものが変わっていくことになりそうです。

後編に続く)

ブランディング