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「会社が超好き」幹部が育つビジョン策定Part2

中堅・大手企業様向けメールマガジンvol.3
社長しか本気で会社の10年先を考えられない

今回は、前回の(1)に引き続きまして、「会社を大好き」幹部が育つビジョン策定の5つのポイントの残り4つをご説明させていただきます。
(ちなみに、(1)は「ビジョンと中長期経営計画は分けて考える」でした。)

(2)ビジョンの定義が一味違う

単に「10年後1000億円達成!」と掲げるのがビジョンではありません。
「会社好き」幹部に育つ会社はビジョンの定義を以下のように考えます。

「ビジョンとは、掲げるものではなく、そこに向かって共に歩む“長い道”のこと。その道を、できれば気の合う仲間とお互いを認めながら楽しい旅をしたい」

ビジョンを社員と一緒に歩む「長い道」「旅」と考えることでビジョンのまとめ方、表現方法が全然変わってきます。

(3)10年先までの将来の姿を示す

社長の時間軸が全然違います。
社長の“今”は“1~2年先”のことではなく、“5年先”と考えます。

そして、会社の10年先を本気で考えることができるのは経営トップしかできません。
トップが本気で10年先までを考え切ることで、それに共感する社員(幹部)が生まれ、足元の1~3年先に全力投球できる環境が整備できます。

当然のことながら、5年~10年先のことを感覚的、希望的観測だけで構想すると、そこに信ぴょう性がなくなりますので、一定の実現性を担保するために、5年後、10年後の人口環境、市場環境、競合環境等々の必要な数値データを見ながら固めていきます。

既存事業はどこまで伸ばすのか、新規事業は何を、いつ頃にどうように展開するのか?
社員の働き方、組織の姿はどうようになっているのか?
また、自社に対する顧客、地域社会のイメージ、はどう変化しているのか?
など、数字だけの「定量的ビジョン」だけではなく、その時の状態(変化)を示す「定性的ビジョン」も必要です。

(4)「How」より「Why」「What」を明確にする。

目標数値や方法論(How)だけでは人(社員、幹部)のモチベーションが発露しません。
なぜ“その道”を一緒に進むのかの大義名分が明確になっているかが重要です。

普段から掲げている自社の理念、ミッションとそのビジョンとのつながり、一貫性のあるストーリーが描かれているかが重要です。

なぜ、自社はこの事業を推進するのか?
なぜ、この新規事業を行うのか?
なぜ、この規模を目指すのか?
なぜ、グループをホールディングス化するのか?
その目指す業界シェアを獲得することで何がどう変わるのか?
ビジョンが実現することによって自社が、社員にとって、顧客にとって、地域にとって、業界にとって何がどう変わるのか?

ストーリーの“筋”が良いビジョンになればなるほど、社内へ浸透度、ひいては社外への浸透度に大きな差が出てきます。

(5)バリュー(フィロソフィー、価値感)を明確にする

「長い道」をお互いに歩む仲間同士で大事にしたい価値観を明確にします。
なりふり構わず業績さえ上がれば何でもよいという考え方ではなく、この価値観に基づいて業績を上げることを大事にします。

ちなみに、「価値観」とは、「ある特質」を望ましいと思う強い信念です。
人は自分の価値観に沿った行動をしている時に多少困難なことがあっても心地よく動けます。

当然、ビジネスというのは甘いものではありません、厳しい熾烈な競争の中での“旅”ですから途中に困難で厳しい時も少なからず出てきます。

だからこそこの価値観が社員同士の心の接着剤であり、言動の判断軸になります。

ここで、A社様(社員200名、年商40億円)のことをお話させていただきます。
5年後に社員300名、年商100億円をめざして順調に伸び続けている企業様です。
今期もコロナ渦の中、順調に増収増益基調で推移されています。

ビジョン(長い道)は10年先までを幹部社員を巻き込みながら決めていらっしゃいます。
ですが、中期経営計画はあえて策定せず、具体的な数値計画は毎年1年先しか決めません。
ただし、その1年計画は細かく、誰が何をいつまでにやるかを綿密に決め、その遂行は全身全霊で取り組まれます。

また、“長い道”を一緒に歩む際の共通の価値観(フィロソフィー)も明確です。
A社様では「どんな仕事をするか」以上に「誰と一緒に働くか」が大事だという考えで企業文化を構築されています。

またもう1社、大英産業様(福岡県)というすばらしい企業様がいらっしゃいます。
住宅、マンション販売事業、中古リフォーム事業等を展開される正社員数232名、パート含めて320名、売上高300億円の企業様です。

ビジョンという「共に一緒に歩む“長い道”」を明確に示しながら、優秀な若手幹部がぞくぞくと育ち、健全成長されていらっしゃいます。

以下に概要をご説明させていただきます。

(1)売上4.6倍、利益20倍超
リーマン不況(2009年)時の売上65億円、経常▲3億円の苦境から、2020年には売上300億円、経常20億円に劇的成長。

(2)社員定着率が業界平均の2倍
社員定着率が業界平均の2倍(※)、社員が成長し、働きやすい組織を実現。
(※)業界平均の離職率13.7%のところ、大英産業様は7.4%。

(3)IPO(株式公開)実現
2019年IPO(株式公開)実現。※福岡証券取引所。社員(幹部メンバー)自らの一念発起で実現
(★今回、ゲストの宮地専務様がその社員代表のお立場でした)

(4)新卒59%で若手即戦力化
新卒社員比率59%。新卒の育成文化を築き上げて会社好き、仲間好き社員を育成。

(5)女性社員比率51%(パート含む)
女性社員が結婚後も働ける環境を実現。

単なる業績拡大だけでなく、ビジョンという一緒に歩む“長い道”をいかに充実したものにするかを絶えず意識しながら健全成長されているステキな企業様です。

住宅・不動産業界でのものですが、業界・業種問わず「組織の壁」を突破する原理原則は同じで変わりません。

1社でも多くの経営トップと社員が一体化したステキな成長づくりのために、誠に微力ながら全力で取り組んで参ります。

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。

<執筆者>
株式会社 船井総合研究所 アカウントパートナー(AP)室部長
上席コンサルタント 南原 繁(なんばら しげる)

※「アカウントパートナー(AP)」とは、弊社が2020年度より新設した、
社員数300名超えの成長をサポートをするための中堅企業様対応の機能です。