やっと暖かくなってきまして、皆様、衣替えを考え始めているでしょうか。
最近街を歩くと、男性でもスプリングコートを着用されている方が、とても多い様に見受けられます。
今シーズンは、軽めのスプリングコートが、メンズ・レディスともにトレンドです。是非皆様も、春の軽いスタイリングを、お試しください。
さて、今回のコラムでは、日本のアパレル市場についてお伝えさせて頂きます。
現在、当社では日本のアパレル市場における勝ち筋が何なのか、徹底的に研究しています。その中で、成功企業の事例より、KFS が少しづつ見えてきました。
今回は、その事例の一部をご紹介させて頂きます。
まず、現在の日本のアパレル小売市場は、約10兆円の市場規模になります。10年前からの推移を考察すると、段階的に規模は縮小傾向にあるのですが、2004年を境に、復調傾向にあります。
ではなぜ、2004年から市場が復調へとシフトしたのでしょうか?
オヤジブーム、クールビズなどのマクロ的要因も考えられますが、今回我々は、販売チャネル(百貨店・量販店・専門店)に着目致しました。
そこで見えてきたものは、専門店チャネルの市場規模が拡大し、市場を牽引していると言う事です。では、日本のアパレル市場を牽引している専門店チャネルにおいて、どの様なプレイヤーが勝ち続けているのでしょうか。
明確なのは、下記の3つのプレイヤーです。
(1)セレクトショップ
ユナイテッドアローズ、トゥモローランドに代表されるSPA型のリテーラーです。編集型の売場を、粗利率の高い PB で展開する事で、利益を捻出し易いビジネスを展開しています。
(2)紳士服・婦人服専門チェーン
洋服の青山、AOKI などの郊外型を面で抑えるビジネスで勝ってきた企業です。近年、若年層向けの都心型2プライスショップを展開し、新たな顧客の囲い込みを図っています。
(3)カジュアルチェーン
ユニクロ・しまむらに代表される、大手のカジュアルチェーン店です。「安かろう・悪かろう」のイメージを払拭させ、新たな市場カテゴリを創出しました。
上記の三業態が、市場において勝つ事ができた背景には、今までにない土壌を創造し、百貨店・量販店から顧客を離反させたのではないかという事が考えられます。
そこで、下記の仮説が想定されます。
● 百貨店ブランドに対抗するファッショナブルなブランド商品やオリジナル商品を取り揃えた。
● 消費者の選択の幅を増やすために、百貨店や量販店では展開できない大規模の店舗を展開した。
● 低価格で品質が良く、デザイン性や機能性が高い商品を取り揃えた。
これが、かれらの KFS であると言えます。
百貨店の市場影響力が弱くなったのではなく、各ユーザーが魅力度の高い土壌にシフトし始めているのです。
事実、百貨店の業績を分析すると、業績の良い百貨店は伸び続けており、一方で、地方百貨店のクローズや、一店舗当たりの売上が大幅に減少しているなどの背景が見えてきます。
ここから言える事は、『百貨店のダウントレンド=全ての企業にとって、百貨店は魅力度がない』わけではないという事です。
例えば、百貨店の立地・ブランド・既存顧客などは、ハイクラスブランドにとっては、非常に魅力的なものであると言えます。
マクロに環境をとらえ、ミクロに自社と照らし合わせてみる、これが非常に
重要であると言えます。
(この記事は2008年3月15日に初掲載されたものです。)