これまでに製造業や飲食チェーンから海外事業に関して様々な相談を受けてきました。率直に感じるところは、「知らないが故の不安」がどの会社もたくさんあるということです。
船井総研に相談に来られるクライアント企業さまは、共通して日本における市場拡大の限界に気づかれており、すでに中長期計画に海外市場の進出(または拡大)を標榜されておられます。多くの会社でこの中長期計画の社内資料を拝見させていただくと、大変失礼な言い方になりますが、「絵に描いた餅」がいっぱい描かれているケースが少なくありません。
何が足らないのかと、クライアント企業で真剣にディスカッションして気づくのは、戦略にはトップをはじめ社内のコンセンサスが取れているのに対して、関連各部署においては短期に推進すべきアクションプランに腹落ちがなされていないことです。つまり海外戦略は総論賛成の域をまだ出ていないわけです。
それでは、こういったケースのコンサルティングをどのように進めているかをお話しましょう。
まず、戦略を構築した企画担当の方に、どのような背景から中長期計画を打ち出されたか確認します。これは海外戦略に限らず国内でも同じプロセスです。
まず企画担当の方に、事業計画を推進するうえで見えていないことを確認していきます。3Cの視点からいうと自社(製品)のことはわかっているのですが、それが売れる市場なのか? ライバルがどれくらい強いのか? が十分にわかっていないことが非常に多いのです。
次に実行部隊となる、事業部や営業部のヒアリングを行います。このヒアリングでは、海外事業を推進するにあたって不安に感じていることを部門の責任者や実行担当者に詳細にヒアリングしていきます。
この段階で、事業計画を策定するにあたって、トップや経営企画など企画部門から概要の確認はあったものの、事業計画そのものには大きく関わっていないケースなどが見えてきます。自分が詳細の計画を作ったわけでもなく、うえからおりてくる計画が不安たっぷりというのは、実行するうえで躊躇することもやはり多いということですね。
船井総研のコンサルティングではどのようにそういった事業計画を、ブラッシュアップしているかご説明しましょう。まず、3Cの視点で見えない要素を極力排除することに努めます。世界のどこに顧客がいるのか? その顧客はどんな製品や価値を求めているのか? 世界で戦う上でライバルとなる企業はどんな企業なのか? そのライバルはすでにどんなビジネスを展開しているのか? こういった要素をできるだけわかりやすく整理していくのです。
では、どうやって「見える化」をはかっているのでしょうか? 船井総研はガーソンレーマングループという、世界中の業界ごとの専門家をつなぐ情報機関のパートナーシップに加盟しています。
たとえば、インドで半導体事業のことを調べたいとか、ロシアで電子部品メーカーのことを調べたいとか、タイのレストラン事情を調べたいとか、そういったクライアントのニーズに対して、世界中でその国の当該業界に精通した専門家から短期間で詳細の情報を収集していきます。
この情報に定量的データを加味してレポートを作成し、クライアント企業が世界で戦う市場はどんな市場なのか? その市場でクライアント企業が本当に勝てるのか? 船井総研なりの切り口で大枠の戦略の方向感を提示しているのです。この工程がなければ、下手をすると「絵に描いた餅」を我々が「もっと上手な餅」に修正を加えてしまうでしょう。でもそんなアプローチでは絶対にプロフィットをうむことができないのです。
次回ももっとグローバルコンサルティングプロジェクトに関してお話していきますのでご期待ください。