11月17日から21日にかけて、タイとベトナムを訪問した。特に今回VINASA(ベトナムのIT協会)で日本企業とベトナム企業同士でお互いに行ったプレゼンでは、ベトナムの若い力を強く感じた。
写真の青年は現在25歳。わずか1年前に創業したソフトウェア開発会社”RIKKEISOFT COMPANY LIMITED”が、すでに60名を超える従業員を抱える規模までに成長している。従業員の平均年齢は24歳。その従業員の内訳は、東京大学卒業1名、慶応義塾大学卒業3名、立命館大学1名、ハノイ工科大学卒業30名、その他ベトナムの大学センター試験満点を獲得した人材5名と、いずれも高学歴者である。社長のタ氏はじめ、日本の大学を卒業しているメンバーは、国費留学生の1期生。ハノイ工科大学の300名の中で、日本語専攻が120名、そのうちトップ20%が、日本の大学に留学できるという制度で選ばれ、日本の一流大学でITを学んだメンバーである。このようにして日本の大学で学んだ優秀なメンバー達が、今では日本の超一流企業から仕事を受託するに至っている。
ハノイ工科大学だけでなく、ベトナムのITトップ企業であるFPTもソフトウェア開発の専門大学を設立し、専門教育を始めている。FPTに関しては、日本語人材が700名いると言われている。ベトナムのIT業界の層の厚さを感じざるを得ない。また、今回のプレゼンでは、ホーチンミンからも何社か駆けつけてくれた。ベトナム企業1社に与えられた時間はわずか3分。その3分のために約2000kmはなれたホーチミンからVINASAの本部のあるハノイに駆けつけてきたという、その貪欲さに、驚きを隠せない。
あらゆる意味で、日本はベトナムよりも進んでいる。教育水準にしても、その結果としての個人の能力、そして優秀な人材の層の厚さを見ても、アジアトップであることは間違いないだろう。しかし、我々日本人に、このベトナムの若者のような貪欲さがあるだろうか?10年後には、この貪欲さの差が何かしらの形で、結果として現れているような気がしてならない。中国、アセアン、そしてインド、バングラディシュ。これらの国の若者達は、いずれも貪欲である。2015年にはAECが始まる。AECは11カ国。RCEPの枠組みで考えれば、16カ国。これらの地域が急速に大きなマーケットとなりつつある。そして、こういった優秀な若手が、その大きなマーケットで、のびのびと活躍をする時代が来る。それは、まさに、2年後とか、3年後とか、そんな近未来である。その近未来では、日本人も、そういったアジアの人材と、同じ目線で、同じ市場で、お互いを高めあうことになるだろう。
これから、グローバル市場にどう取り組んでいこうという発想ではない。すでに、市場はグローバルになっている。そしてそのグローバルな市場で、貪欲に取り組みをしている、若い大きな力がすでに存在しているのである。