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小売業の店舗オペレーション支援のための物流と効率化のポイント

物流の顧客は店舗。店舗オペレーションの後方支援が物流体制構築のポイント

■店舗オペレーション支援のための物流の位置づけ

小売業の物流センターを効率化する上でのポイントは、店舗での物流作業をいかに軽減させるかで、切り口は2点あります。
一点目は店舗で行われている物流業務をできるだけ前工程で行うことです。物流センター内での物流(在庫保管、入出荷作業、流通加工、梱包、店舗への配送)から、店舗での物流(店舗バックヤードでの保管、陳列棚への商品供給、流通加工)までを範囲に入れ、可能な限り物流業務を前工程で行うことにより、全体の効率をアップさせていくことが、小売業の物流を考える際の鉄則です。 具体的には、店舗での仕分け作業や検品作業をなくし、店舗での物流にかかる作業を減らしていくことで店舗販売人件費を効率化していくことです。
 
二点目は店舗への納品台数を集約することです。小売業態は、様々な商品が取り扱われているため取引業者が多く存在します。 チェーンストア業種で数100、百貨店では数1,000となる場合があります。 その取引業者が各々が納品を行うと、店舗では荷受作業をし続けなければならなくなり、そのためのコストが増大します。そのため、一度取引業者は小売業の指定する物流センターに商品を納品し、各取引業者の納品商品を店舗ごとに集約した上で店舗に納品するという形態をとっています。このパターンを一括物流と呼んでいます。

■DC(在庫型)とTC(通過型)を併用したオペレーション

小売業は商品回転率が高い商品が多く、海外調達製品、鮮度が要求される商品などスピードの観点と大量調達の観点など多くの物流の視点が必要になります。 そのためDC、TCの併用型のオペレーションを採用することが多くなります。 DCは自社買取商品の在庫と、メーカーが預け在庫として小売業の物流センターに在庫する場合があります。 預け在庫とはメーカー、卸が小売業の物流センターに在庫を保管し、出荷指示がかかりピッキング・仕分けされて店舗に納品された時点で小売業に対して売上げを立てる方法です。 供給側が在庫補充を行うので欠品リスクの回避や細かく物流センターに納品することがなくなるので、その際にかかるコストが低くなることがメリットです。
 
またTCは鮮度が要求される商品の場合のオペレーションに多く、日配品といわれり食品系の商材に対して行われます。 TCには二通りあり、取引業者が店舗別に仕分けて納品する店別仕分けパターンといわれているTCⅠ型と、取引業者が全店舗納品分をまとめて納品し、物流センター側で店舗別に仕分ける方法で総量納品パターンといわれているTCⅡ型があります。 小売業でいうTCは取引業者の店舗への納品代行を請け負っている形になるので、物流センターを運営している企業に、センターフィーと呼ばれる形で取引業者から料金が支払われています。 

■物流センターは店舗のバックヤード

都市圏の店舗などでは店内にバックヤードを確保すること自体に非常にコストがかかります。 バックヤードを確保することにより、売り場面積が少なくなってしまっては、ビジネスそのものが成り立ちません。 その対策として物流センターでバックヤードストック分を保管し、物流センターから多頻度で少量補充を行えるようにします。つまり多頻度少量補充を行うことによって、バックヤード面積はコンパクトに抑えられることになり、かつ販売店舗面積を広げることができます。これは儲けを生み出す物流パターンの一つです。

また店舗での商品陳列時の作業効率化が図れるように、カテゴリ別仕分けなどの施策を実施しているケースもあります。 昨今ではカテゴリ仕分けは店舗での作業人時削減、開店前陳列の効率化などで効果が確認されて、実施している企業は多いようです。 最近ではその先の細かい仕分けメッシュである売り場通路別仕分けを行っている企業も多いようです。

■小売業のドミナント出店の効率が良い理由は物流の観点から

ドミナントとは地域やエリアを表す言葉で、配送の中心となる物流拠点を決め、店舗展開していく戦略をドミナント戦略といいます。 この戦略のポイントは、物流コスト全体の約50~60%を占める輸送コストを、効率の良い供給体制を敷くことで抑えることができることです。 前述の多頻度少量納品など顧客とみなす店舗のサービスレベルをより充足していくためには物流センターの配置がポイントとなるため、非常に重要な戦略であると理解できます。 実施している代表企業は日本ではセブンイレブン、海外ではウォルマートが有名です。 両社ともにロジスティクス、物流効率化に重点を置き、売上を拡大してきた企業です。

■小売業の物流で活用される物流機器

小売業の物流は一日の配送便数も多く、効率的に供給する必要があるため、積み替え回数が少なく効率的に店舗へ供給するための物流機器が活用されます。 もっともポピュラーに使われるのは、ドーリー、カーゴテナー、カートラックの3つです。他にも種類としてあるとは思いますが、大きくはこの3つに大別されます。
ドーリーは、日配系の食品であるパン・菓子系、惣菜などの商品を運ぶ際に使用されるクレートを積載する際に使います。クレートは別名バッカン、番重とも呼ばれ食品輸送に多く使われています。

カーゴテナーは、小売業物流でもっとも多く使われている搬送機器でロールボックスパレットとも呼ばれることがありパレットとして扱われることもあります。商品を積載しそのまま車両に積載し、カーゴテナーごと荷おろしができることにより、作業から納品まで一貫して同じ機器で作業を行うことができることがメリットです。
カートラックは、店舗内での陳列作業を効率的に行うことを前提に作られており、両サイドから商品をピックアップできることが特徴です。 また6つの車輪がついているものがポピュラーで、カートラックの中心から360℃回転させることも簡単で、女性が作業を行う際にも非常に使いやすくなっています。 このカートラックを仕分け作業、または納品時から活用することによって、店舗まで一貫した作業を行うケースがあります。

■メーカー、卸との情報連携が物流効率を決める

小売業は消費者を直接の顧客とするため、破損、商品間違いなどに関連する品質、欠品を極小化するための補充のスピード対応、そしてその2つを低コストで運営しなければ価格に跳ね返ってしまうため、非常にハイレベルな対応が求められる。そのためにはEDI(電子データ交換)による情報連携は必須である。EDIのメリットには、【1】事前入出荷情報取得により作業スケジュールが計画できること、【2】オーダー受注から出庫・出荷まで一貫したデータ運用ができるため作業精度があがる(検品が必要なくなる)【3】事務作業そのものが簡素化されることである。オーダー受注から作業が早く開始でき正確な作業が実施できる状態ができるため、生産性が向上するのである。


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