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「AKB48大人気」から来年のトレンドを分析! 2011年ヒットキーワード大予測

2010年はみなさんにとってどのような1年でしたか。「大激変の年」だったのではないでしょうか。

デフレの長期化で企業経営は非常に厳しい状況が続いていますが、一方で今年1年間は世の中に新しい胎動が見られ、次の一歩につながるような流れも現れはじめています。

私自身、今年はたくさんのメディアから取材を受けました。1つ1つは関連性がないテーマですが、それらを俯瞰してみると、次のビジネストレンドがいくつか見えてきました。

来年は何が売れるキーワードになるのか。新たに着目すべき市場や商品特性とは何か、今年の流れからをまとめたいと思います。

■ さまざまな「変化の胎動」を感じる2010年のトレンドキーワード

2010年のトレンドキーワードをまとめると、以下の8つのテーマを挙げることができます。

[1]地方発(離島・B級グルメ、街づくり、県産品、町おこし、商店街活性化)
[2]流通業の変化(百貨店業界の巻き返し戦略、GMSの新しい取り組み、SPA業界、ファストファションブランドの隆盛)
[3]価格競争(激安戦争、激安業態、低価格飲食店の隆盛、新しいリサイクルショップ)
[4]ライフスタイルの変化・価値観の変化(子ども、高齢者、おひとり様など)
[5]新業態開発(会員制ディスカウントストア、買い物弱者向けスーパー)
[6]異業種参入(一般企業による農業ビジネス参入)
[7]街・立地の地殻変動(銀座、新宿、原宿の変化、ネットへのシフト)
[8]アジア進出・外国人観光客の取り込み(銀座詣で)

今年1年だけでも、さまざまな「変化の胎動」が感じられるテーマかと思います。もちろん今年になってはじめて登場したものばかりではなく、これらはすべて以前から変化の兆しが現れていたものが大きなうねりになり、トレンドとして形成されたのです。

私はこれを軸にして、「2010年ビジネストレンド番付」というものを作ってみました。

番付で有名なものには日経MJの「ヒット商品番付」がありますが、ヒット商品に限定していることもあるため、ここでは商品以外の「ビジネスの潮流」や「トレンド全体」に幅を広げて、「2011年の時流を読むための番付」を考えてみました。

■ 「2010年ビジネストレンド番付」発表!

上の表は、東と西に“ある区分”をつけています。

東は「ライフスタイル・テーマ」、西は「消費・商品トレンド」という内容で整理しています。したがって西では具体的な商品名や明確な消費トレンド名として世の中に認知されたものを挙げています。

ビジネスの流れを読み、新しい事業を興す、もしくはそこに切り込んでいくためのポイントは、大きな流れを汲み取りつつ、同時に身の回りの小さな具体的な動きに目をやることです。この大きな流れと小さな流れの両輪こそが、時流を掴むために必要となります。

■ ツイッター、無縁社会、地域活性化…。ライフスタイルはどう変化した?

ライフスタイルとして今最も注目すべきであり、またこれからのビジネストレンドとして中核になるであろうものがCGMです。CGMとは「Consumer Generated Media」の略で、「消費者主導型媒体」のことを指します。わかりやすく言えば、クチコミメディアです。

2010年に最大のトレンドとなったのではないかと思われる東の横綱にこれをおいたのは、ツイッターの威力をあらゆる世代の人が実感し、ここから情報を発信することが当たり前になった年だからです。今のトレンドを作るきっかけになっているのは、クチコミメディアであることが多くなりました。この勢いは当面続いていくことでしょう。

日本でもあっという間にツイッターユーザーが1000万人以上になったように、さまざまなクチコミメディアが引き続き増加していきます。SNSやブログも含めて、個人が媒体を持つ時代になったのです。

したがって企業側もこのクチコミメディアを上手に活用し、マーケティングに活用するケースが来年以降、さらに増加すると思います。クチコミを作り出し、どのようにそれを展開していくか。これが大きなポイントになります。

また、ライフスタイル上、非常に重要なテーマのひとつが、子育てです。子どもを取り巻く環境全般と言ってもいいかもしれません。

具体的には、少子化対策、子ども手当、待機児童解消、学校教育、受験、幼保一元化、いじめ問題など、考えなければいけないテーマはたくさんあります。

日本の出生率は1.37(2009年度合計特殊出生率)です。「少子高齢化社会」とよく言われるように、出生率がこのまま上昇しなければ、日本の将来を支える労働人口が減少し、国の活力が落ちることが予想されます。そうしたことから、日本の出生率が低いのは「子育て環境が整っていないから」とされ、国をあげて子育て支援、子育て環境の整備に取り組み始めているのが現状です。

しかし現在のところ行われている政府の施策は、「子ども手当の半額支給」くらいで、抜本的な対策とはなっていません。これが来年からは具体策として動き出します。したがって、「子育て関連」は非常に重要なテーマとして、この数年注目すべきと考えています。

同時に深刻なのが無縁社会・おひとり様というキーワードで表されるような個人が孤立した社会環境です。高齢者が1人暮らしを続け、身内とのつながりもなく、そのまま亡くなってしまう例が増えています。

このような社会を改善していかなければならないのと同時に、高齢者も安心して暮らせる介護サービスやサポートの仕組み(住宅、医療、食事、住宅、日常生活全般)について、行政だけでなく一般企業が真剣に取り組みを始めています。これも年を追うごとに重要性が増してくると思われます。

また地方・地域というテーマは、以前より「地方から日本を元気にしなければ」と各地方が取り組んでいたものが、2010年になってようやく大きく形に表れてきたように思います。

今年開催された「B-1グランプリ in あつぎ」では2日間で43万人が来場。そして、「甲府の鳥もつ」がグランプリになったように、「地方では有名だけど全国的にはイマイチ」だったものが注目を集め始めました。またこれだけでなく、最近では地方のさまざま商品や企業のブランド化が進み始めています。“地産東商”と私共では言っていますが、「地方発東京着」の商売がますます広がっていくことでしょう。

以上のようにライフスタイル・テーマで挙げたものは、2010年のトレンドテーマと言うよりも、今後数年間のトレンドとなりうるテーマです。企業だけでなく国のサポートが必要なテーマでもあるため、来年以降、大きな波に変わっていくことでしょう。

■ AKB48はなぜ大ヒットした? 消費・商品トレンドは大激変の年に

2010年の“最大のヒット商品”は、AKB48でしょう。商品と言うのは適していないかもしれませんが、その盛り上がりは単なるアイドルとしてだけでなく、その商品価値や広がりという点において特筆すべきものです。

今までのアイドルとの最大のちがいは、身近なところにいた女の子が小さな劇場で訓練して、地道にファンを増やし、スターになっているという点です。最初からお金をかけてデビューさせたのではなく、地道に広げていったところがポイントです。

CGMとも重なる点がありますが、これからは消費者の感覚や意識を上手に取り入れたものでなければ大衆に受けるものにはなりません。その意味でAKB48は、「消費者主導型アイドル」とも言える存在なのです。2011年はこのような消費者参加型の商品やサービスが確実に増えていくことでしょう。消費者の共感は、消費者を企業の経営に参加させることで生まれていくのです。

また、今年は低価格○○というデフレ経済下ならではの商品や業態がたくさん出現しました。牛丼戦争に始まり、低価格ジーンズ、低価格居酒屋、低価格アルコールなど、あらゆる業界で低価格を売りにしたビジネスがもっとも多く登場した1年でした。各社の原価コントロールの成果ということもありますが、それ以上に、思うような売上がとれずに仕方なく低価格戦略にシフトした企業も数多くあったように思います。

2011年は価格戦略が少しずつ変化していくと思います。1つは、年齢別割引などの特定割引制度の拡大。もう1つは、「脱価格」です。

特定割引制度とは、例えば「シニア割引」など、特定の年齢層にターゲットを絞った割引のことです。シニア割引はさらに拡大するでしょうが、来年以降は、ママ割、パパ割、子ども割、サラ割(サラリーマン割引)など、ターゲット別の割引などによって、特定の顧客を引き付けるような価格戦略が切り口になるでしょう。

そして私が考えるもう1つの戦略は、「脱価格」です。低価格の流れは2010年をピークにして、2011年からは、本物の○○、品質の○○、独自の○○という流れになると見ています。多少価格は高くても、独自性のある商品やサービス品質で勝負する企業の時代に移り始めるということです。

低価格戦略がなくなることはないでしょうが、いつまでも続けられる体力のある企業はそう多くはありません。そろそろ低価格競争から脱したい企業も多いはずです。結果的にそれが利益確保の切り口でもあるわけですから、脱価格へと動いていく1年となるでしょう。

■ 街を見れば、トレンドが読める? 世界の“ショーウィンドウ”となる銀座

街の盛衰にも時代のトレンドが見えるものですが、私はあらためて銀座に注目しています。銀座は世界最大のファッションタウンと呼ばれてきましたが、この数年で街の様相が一変し、本当の意味で世界のショーケースへと変貌しています。世界トップレベルのブランドが旗艦店を出店する時代から、アジア進出を目論む企業のショーケース、ショーウィンドウの立地へと変化しているのです。

銀座松坂屋内へのラオックス出店、洋服の青山の銀座出店、ユニクロの店舗リニューアル、そして、2011年秋にルミネが有楽町西武跡地へ出店など、銀座・有楽町に対する見方が、「売上を上げられる最高立地」から「アジアの観光客にアピールする実験場」という位置づけに大きく変化しています。これが来年以降、さらに強まるため、銀座の地価も上がるでしょうし、好立地の確保が難しくなるでしょう。

銀座は日本中のお客様を集める街としてだけでなく、世界中から人を集める国際商業都市へと変化する年となります。これは新宿、渋谷、池袋という都心の街づくりにも影響を与え、それが地方へと飛び火する可能性もあります。

2011年は、「街の動き」からトレンドを探ることが大切になりそうです。

銀座が変わっていった背景には、ファッションブランドの海外有力企業が次々と出店し、街の様相を一変させたという背景があります。それがファストファッションです。H&M、ZARA、アバクロ、フォーエバー21など、世界の有力ファストファッション企業が銀座、新宿などに集結しています。これは日本だけでなくアジア拡大への布石となり、アジア市場でのシェアを上げたい企業の拠点となっていきます。

2011年以降はこれらの企業の地方出店が加速し、同時にアジア各国へと展開スピードを速めるでしょう。ファストファッションの動きは世界企業の戦略の行方をも意味しているのです。

これ以外にも機能性商品が衣料品や食品、住関連商品などに拡大する、EV(電気自動車)の普及がスタートする、LEDの普及による省電力化が進み、それが家庭に入り込んでいくなど、まったく新しい機能を持った商品やサービスも増えていく1年になります。

時代は激変の時を迎えています。消費者の間では漠然とした「不安」が拡大しているように思います。その不安を取り除いてあげられるようなサービスや商品を開発した企業に注目が集まるはずです。いつの時代も、企業は「誰かの役に立つこと」が必要なのです。

何をすれば役に立てるのか。それを真剣に考える年が2011年だと私は考えています。2011年を「お役立ち元年」として、新しいトレンドを作っていきましょう。