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インドネシアのバイク市場

先週一週間はインドネシアに出張していたが、そこで感じたのはバイク市場のすさまじさである。
前から、インドネシアの道路を走っていると、
縦横無尽にスクーターが走っているのが目についてはいたものの、
ベトナムのハノイやホーチンミンと比べれば、バイクの量はまだ少ないと思っていた。

しかし実際のところ、インドネシアのバイクは1999年頃から毎年100万台ペースで伸び続け、
2011年は800万台を超え、900万台に迫る勢いだとのこと。

このままのペースで伸び続ければ、2015年までに1200万台に達することになるが、
1200万台という数字は、日本人の10人に一人が毎年1台バイクを買うというイメージであり、信じられない数字である。

このインドネシアのバイク市場にバイクを供給しているのが、
日本のホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキであり、
実にインドネシアのバイク市場の9割以上を日本製バイクが占める。
これはベトナムでも同じである。

インドネシアの場合、中国製やインド製のバイクメーカーも進出してきているが、日本製のバイクの人気が圧倒的に高い。
これは、早くからインドネシア市場に取り組んできたという知名度の高さもあるが、
それ以上に、日本製のバイクを購入しておけば、売却する時にはその半値以上の値段で売れるという理由もある。

日本製バイクの品質の高さはいうまでもないが、半値以上で中古が売れるということは、
いかにインドネシアのバイク需要が大きいかということをあらわしている。

インドネシアには、バイクが売れる条件がそろっている。
まず、冬がない。
かつてバイク文化の象徴であった北京などは、冬には氷点下10度を下回る日も多く、
冬になれば必然的にバイクには乗りにくくなる。
しかしインドネシアは常夏であり、2つの季節、つまり雨季と乾季しかない。

次に渋滞である。
インドネシアはジャカルタ及び各都市部に人口が集中しており、都市部の渋滞で車が停滞することは日常茶飯事である。
しかしバイクならば、渋滞の隙間をくぐって進むこともできるし、いざとさればバスレーンを走ってしまうこともある。
インドネシアでの通勤の足としては、車よりもバイクの方が確実なのである。

このように、日系を主体としたインドネシアのバイク市場は目覚しい勢いで発展を続けているが、注目すべきはその現地調達率の高さである。

二輪メーカーに限らず、二輪メーカーに部品を供給するメーカーも早くからインドネシア市場に進出しており、
そういった二輪部品メーカーは、結構な割合でインドネシア資本の企業から部材を購入している。
実際に、インドネシアのバイク市場の発展とともに目覚しい成長をしたインドネシア資本企業も存在している。

また、そういった部品メーカーで使用される金型や治具に関しても、インドネシア資本の企業が多数供給している。
バイク市場に関しては、完成度の高いサプライチェーンがほぼ出来上がっていると言える。

そこで、今、日本企業にとって新たなビジネスチャンスが生まれて来る。
つまりこういったインドネシア資本企業は、より品質の高いものを供給するために、
日本製の機械や工具などの生産財を求めるようになってきているのである。

生産財に関しては、日本企業の実力は圧倒的である。
かつ、中国市場では、日本製品は欧米製品との競争になるが、
親日で日系企業のシェアが高いインドネシア市場では、日本ブランドは圧倒的である。

今こそ、生産財企業にとって、インドネシア市場に目を向けるタイミングであると言える。