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提案営業を具体的に実践するための4つのPhase(2)[マーケティング戦略・営業戦略]

前回は”提案型営業のあり方(概略)”と題し、基本的な営業活動の流れ(営業先のターゲティング→ターゲット企業の攻略シナリオ立案→提案活動→契約(商談締結))とそれぞれの段階におけるポイントを説明させていただきました。

今回は、前回の“提案型営業のあり方(概略)”を受け、「Phase1:営業先のターゲット選定」について、顧客データベースを活用した事例をお伝えしていきたいと思います。

今回ご紹介する企業A社の取組としては、営業先(取引がある、なしに関わらず)の顧客データベースを構築し、営業マンがこれを活用しながら、効率的にターゲットを選定し、高い確率で効果的な営業活動を実践している、という内容です。

この顧客データベースで管理している主な情報としては、「各企業に対する自社の営業マンのアプローチ状況」「自社との取引履歴情報」「競合企業との取引情報」「過去の営業成功事例と失敗事例」などです。

A社の営業マンは、これらのデータベース情報をもとに自身の営業ターゲット先を絞り込むわけですが、その絞り込みの基準に大きな特徴があります。

1つ目の特徴は、「商品面からのアプローチ」です。

データベース内にある他の営業マンの成功事例情報を参考に、同じような課題を抱えている企業はないか、同じような提案ができそうな企業はないかといった視点で選定する方法です。

この方法を実践することにより、アプローチ段階でのアポイント取得の確率は飛躍的に高まり、ニーズ把握から提案までの営業時間が短縮されるといったメリットが発生しています。

例えば、上記の方法でターゲットを選定した上で電話でアポイントを取るわけですが、その際に「○○はどうですか?」といったトークをするのではなく、「ある会社では、このような課題を抱えており、このような方法で解決したんですよ。御社ではいかがですか?」といったアプローチをすることで、顧客の反応は格段に上がるとのことです。

また、どのように攻略すべきかの提案内容を悩んでいる際にも、成功事例が当てはまりそうな企業を選定しているため、ニーズ把握~提案までの流れがスムースになり、営業時間を短縮することが可能となるのです。

2つ目の特徴は、「企業情報からのアプローチ」です。

これは一般的な手法ですが、これまでに一度でも営業したことのある企業については、その情報を全営業マンが共有化できるよう管理されており、なおかつその企業に誰がどのようなアプローチを行ったのかという詳細な履歴情報が蓄積されていることが特徴的です。

この方法もデータベース内にある他の営業マンの成功事例情報を参考に、同じような企業規模や業績傾向、業務内容や企業の特徴といった視点で選定します。

これを実践することにより、過去の営業活動履歴の内容を把握した上で、同じような内容やアレンジを加えた内容を実践することで受注確率が飛躍的に向上するとともに、スムースな営業活動が可能となります。

どちらの場合もデータベースに管理されている情報が全営業マンに共有化されているため、非常に効率的なターゲット選定が実現でき、営業成果にも結びついているのです。

ITを駆使した情報管理・データベースをすぐに構築することは難しいかもしれませんが、この事例から学べる重要なポイントは「顧客情報管理の精度を高め、効果的に活用するしくみ」を構築することにあります。

地道な情報収集活動をもとにした情報の整理・集約・管理を徹底し、それを全営業マンで共有しながら、自身の営業活動へ翻訳することで効率と効果を上げているのです。特にターゲット企業の法人規模が大きくなればなるほど、一個人の営業マンではアプローチに限界があるため、営業マン同士で攻略方法についての意見交換や検討会議を行うことも効果的です。

提案型営業実践に向けた一つの手法として、参考にしていただければと思います。
(この記事は2008年6月24日に初掲載されたものです。)