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中小ソフトウェアハウスに見られる課題点と強化方向性(2)

前回は、中小ソフトウェアハウスにおけるマーケティングの必要性について書かせて頂きました。今回は、マーケティングの実践方法をもう少し具体的にお伝えしていこうと思います。

まずは今回初めて読まれた方のために、前回の内容を簡単に振り返りたいと思います。

IT業界は大手ITベンダーが元請けとなり、中堅・中小ソフトウェアハウスが二次請け・三次請けになるという多重化構造が業界特性としてあります。これまでは市場全体が成長傾向にあった為、このような構造が機能してきた訳ですが、今後は世界的な景気低迷による市場規模の縮小などにより、業界構造自体が大きく変化していくことと思われます。

このような外部環境下にあって、従来の主要な受注チャネルであった大手ITベンダーからの案件も当然のごとく、縮小していくことと思われる為、これからの中小ソフトウェアハウスは大手ITベンダーに依存しない受注チャネルの構築が求められ、初期段階の施策としてマーケティングが必要であると書かせて頂きました。
それでは今回の主題であるマーケティングの具体的な方法をお伝えしていきたいと思います。マーケティングは、
 (1)どのユーザーに
 (2)どんな価値を
 (3)どうやって伝えるのか
という活動であり、BtoCビジネスに比べマーケティングの成熟度が低いと言われているBtoBビジネスでも、この点で大きな違いはないと考えられます。ユーザー情報の収集は以下のステップで行います。

【ユーザー情報の収集ステップ】

A. ターゲット選定
 調査対象を明確にし、リーチ可能な形でターゲットを定義する
 (例:開発規模が1億円以上のPJマネージャーなど)

B. ヒアリング項目の基本設計
 以下のプロセス毎でユーザー情報を収集する。
  認知   :何をきっかけに自社を知ったのか?
  関心   :なぜ自社に関心をもったのか?
  比較・検討:何社の比較を実施したか?
  行動   :なぜ自社を選んだのか?
  経験   :満足したか? リピートしたいか?
自社と合わせて他社のユーザー情報を収集することで、プロモーション効果の違いや、競合との歩留りの比較などを行い、今後の打ち手や改善策などを具体化させやすくなります。初期段階においては、以下のような内容を整理するだけで今後の方向性を策定することは十分可能です。

●商品
・競合ユーザーの獲得にはどのような改良が必要なのか?
 (例:機能の絞込みによる低価格化等)
●導線
・どの媒体、セミナーにどのようなメッセージを伝えると、ヒット率が高まるのか?
・社内の口コミを増やすためにはどうしたら良いのか?
 (例:ターゲットユーザーが影響を受けやすい著名人からの紹介等)
●ターゲットユーザー
・他社を利用しているユーザーにどうすれば利用してもらえるのか?

ユーザー情報はネット調査やセミナーアンケートなどでも収集することができると思いますが、コストと労力の面からその負荷が軽いと思われる既存取引先から始められては如何でしょうか。そこから自社の強み(ユーザーが評価している点)を探ることだけでも、一定の成果を得られると思われます。
(この記事は2009年7月24日に初掲載されたものです。)