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成熟産業企業の明暗を分ける「未来の旗艦店開発への情熱」[マーケティング戦略・営業戦略]

こんにちは、船井総研の山本 匡と申します。
今回の連載のまとめをおこないます。

これまでに3つの事例を見てまいりましたが、事例としてとりあげた3つの企業ではこのフラッグシップに対する考え方がそれぞれ異なっていました。

■事例1 の企業は、もともとフラッグシップだった店が時代の流れとともに没落していく一方で、別の立地に新たなるフラッグシップを作ることに一度は成功しました。しかしこの新たなフラッグシップがまた別の競合店に侵食されるという事態になり、業績も低迷し、社員の士気も下がり気味です。
■事例2 の企業は、いち早く本店を移転し、都度増床して現在では揺るぎのないフラッグシップを築き上げています。また、本店以外にも高収益店を複数作ることに成功しました。
■事例3 の企業は、かつてのフラッグシップが相変わらず売上の核であり、別の場所に新たなフラッグシップをつくることがまだできていません。

このように、不振店閉鎖の対極にある「旗艦となる高収益店舗の開発」というところにどれだけ経営者の神経と経営資源が投入されているか、なにを最重要項目として経営をとりおこなっているか、この(最初はわずかな)差が、10年、20年を経て取り返しのつかない差を生み出しているのです。

どのような企業にも、成長の過程でかならず「勝ちパターン」が生まれてきます。自社の得意なパターン、昔からこうやって成功してきた、こういう戦いなら勝てる自信がある・・・・・。それはどの企業にもあるものです。大事なことは、昔からの勝ちパターンが、現在においても通用するかどうか、なのです。

十年一昔といいますが、ヴェンチャー企業と異なり、成熟産業成熟企業ほど、時間の流れがゆっくりしています。同じことを繰り返していても「ずっと昔からこうだった」ということになります。しかし、今回例として掲載しました流通業の場合においても、かつての旗艦店を守ろう守ろうという方向に努力していては着々と外堀を埋められることになります。一方で旗艦店を捨ててまで新たな立地にチャレンジしている企業は、今なお元気に輝いています。
もちろん原因はひととおりでなく様々に絡み合っていますが、しかし集約すると「未来の旗艦店づくりへの情熱」がこれらの企業の明暗を分ける形になりました。

量販系流通業において、実際には店舗開発がこれほど重要視されている体質の企業は決して多いとはいえません。また旗艦店の維持発展という執念もまた、ある企業もない企業も様々で、乏しい企業から淘汰されているのが実態です。

読者の皆様は流通業とは限らないでしょうが、他の業種に置き換えましたら、なにがKFSで何を必死に取り組むべきなのか、おのずと見えてくるのではないでしょうか。研究開発か、生産技術か、それとも・・・・。

この連載では、店舗開発という、一見「一業務」が企業の経営にどのような重大な影響を与えているか、という観点からの意見を掲載させていただきました。