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ISOが業務改善の壁になる!? 本当に活用するために

私どもの現場コンサルティングにおきまして、ISOに関するご相談をいただくこともあります。

ISOは、認証取得そのものではなく、考え方を適用したり、現状の業務改善に取り入れることが、本来創造されるべき価値であり、企業の健全な成長に役立つと考えていくべきものです。認証取得方法に関するお問い合わせをいたただくケースもありますが、その前に有効な運用方法を検討し、現場の方々に認証取得メリットを感じていただくことが必要でしょう。何のために認証取得を目指すのかといったことを、社員全員に理解していただくようにしておかないと、取得後のメリットを大きく刈り取ることができません。認証取得そのものは、顧客から要求されるであろう必要最低限のレベルを満たしていることの証明であり、一流企業の証明にはなりません。「認証取得だけならせいぜい二流程度の証明だ」と言われる主任審査員もいらっしゃいます。取引上の必要に迫られて取得される企業もたくさんありますが、肝心の「継続的改善」がほとんどなされていないケースが散見されるからでしょう。
認証取得後、各部門の担当者が不適合の発生を恐れて大胆な見直しができなくなっているケースが多いからです。大変革期の企業にとっては、業務プロセス、システムそのものにもドラスティックなスクラップ&ビルドが必要になりますが、不適合を恐れるあまり担当者が萎縮して、企業の変化対応を阻害している部分は否定できません。つまり、企業の変化対応に対する柔軟性を阻害してしまう可能性も内包しているのです。経営者の方からすると言語道断ですが、現場担当者は自分の領域を守りたいという気持ちが強いものです。初回審査ではずいぶん苦労をされておりますので、担当者の方々のお気持ちはよくわかります。しかしながら、そうであるがゆえに、どのように運用し、業務改善に役立てていくのかという視点を持たないと、企業の成長に役立てる仕組みが定着しないのです。「高い運転免許」と割り切っておられるのでしたら問題ありませんが、コスト回収意識が低いと言わざるを得ません。このようなことから、ISOの考え方を業務の現場において、如何に有効活用していくかを少しずつ整理させていただいております。まず、業務改善ツールという位置付けで利用することを意識して下さい。

【接客プロセス整理の参考例】
以前、現場における様々な改善を進めていく上で、プロセスをチェックしていくことが有効であることをお伝えしましたところ、適用事例をもう少し細かく知りたいというお問い合わせをいただきました。ご質問の多かったプロセスの洗い出し方について、前回お伝えした接客プロセス題材に整理してみます。
まず、店舗におけるお客様の購買の動きをフローに整理します。

例えば、(1)店舗認知→(2)入店→(3)回遊→(4)商品認識→(5)商品比較→(6)購買→(7)精算→(8)退店 のようにするとよいでしょう。
来店されてから退店までの動作を整理し、それぞれの場面での顧客基本応対を貼り付けると、どのようなキーワードが必要なのかが明確になります。次にそれぞれのキーワードの具体的内容を再整理すると、個々の動作のあるべき姿が明らかになります。このような整理の仕方は、接客応対マニュアル作成時に動作を規定していく場合に使われる方法なので、ご存知の方も多いと思います。
この動作一つ一つがサブプロセスになりますので、つながりを明確にすると、大きな接客プロセスになります。つまり、「1人のお客様に対する接客」がメインプロセスであり、「挨拶」や「商品説明」などがサブプロセスになるということになります。
プロセスのつながりは、インプットとアウトプットの関係で整理できます。例えば「お客様に対する挨拶」というサブプロセスは、次のサブプロセスである「お客様からの情報収集」を容易にするための動作になるということになります。流通業・サービス業で「挨拶が大切」と言われておりますが、「なぜ大切なのか」という背景を説明されるケースは少ないものと思われます。「挨拶は基本だ」とか「当然の行為」と言ってもよいのですが、「挨拶はお客様に対して『あなたを認識しましたという合図』であり、その後の対応を容易にするためのものだね。その後の対応は、お客様からの情報収集あったり、会話であったりするので、これを容易にする表現である必要があるよね。だから二声挨拶をして、お客様に返事をしてもらうことが大切なんだよ。」などと説明すると非常によくわかります。「いらっしゃいませ」には呼応する返答がありませんので、基本的に返事ができません。そのあとに「こんにちは」等をつけると、「こんにちは」という返事が容易になります。一度口を開くとその後話しやすくなることは誰でも経験したことでしょう。
話しやすくなるからこそ、情報収集や、次の接客動作へスムーズに移れるのです。このように、小さなプロセスのインプットとアウトプットを整理しながら、それぞれのサブプロセスにおけるPDCAサイクルを回していく仕組みを整えることがポイントになります。