コンビニではゴールデンゾーンでの商品展開が売り上げに大きな影響を与えます。ゴールデンゾーンとは、棚の位置で最も手に取りやすい一等地のこと。ゴールデンゾーンの効果としては、「何気なく、気が付くと手に取ってしまう」ことにあります。
1日平均約800人の客が来店するコンビニ。コンビニは、従業員の接客で商品を買うアパレル店や宝飾店とは異なり、客が自分で商品を手に取り、レジで精算するセルフ業態です。
店舗が売りたいと考えている商品(儲かる商品)を手に取ってもらうためには、ゴールデンゾーンの活用が必要不可欠となります。コンビニで売り上げを伸ばす工夫は多々ありますが、真っ先に確認すべきなのは、このゴールデンゾーンがフル活用されているかどうかです。
【500mlサイズのビール、プレミアムビールを陳列】
例えばビール系飲料を考えてみましょう。缶のサイズは、350mlと500mlの2種類。種類は、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」。ビールの中にも少し価格が高い「プレミアムビール」(エビス・プレミアムモルツなど)がありますよね。では、もしビール系飲料を効果的に陳列するとしたらどうするか。
ゴールデンゾーンに展開する商品として正しい選択は、サイズとしては500ml。商品としては、プレミアムビールとなります。これは典型的な例なので、分かりやすいでしょう。商品単価が最も高いものを置いているのです。
「でもゴールデンゾーンに置いたからといって本当に売れるの?」という人もいるでしょう。確かにそれほど見事に売れるわけではありませんが、商品に対してのこだわりが少ない人、知識に乏しい人、急いでいる人は、ゴールデンゾーンの商品をよく買っていきます。いつもは買わない人でも「つい」という衝動買いをする人もいます。
私自身の話で恐縮ですが、新幹線に乗る時間が迫っている時に駅の中にあるコンビニに寄った際は、商品を選んでいる心理的余裕がないために、いつも手に取りやすい棚に置いてあるビールを買ってしまいます。それはいつも同じ銘柄の500ml缶。見事に術中にはまっています。
【ガム売り場では最上段にボトル型ガム】
読者の方もよく目にする光景だと思いますが、大半のコンビニのガム売場は、最上段にボトル型ガムを陳列しています。実は、ガム売場におけるゴールデンゾーンは最上段なのです。
ガムの平均単価は約105円ですが、ボトルガムは約400円。店としてはボトルガムを売りたいところ。このため、「目に付く」「思わず手に取る」場所である最上段に商品単価が高いボトル型ガムを陳列しているわけです。
【高単価栄養ドリンクはアピール目的で最上段に】
栄養ドリンク売り場にも同様のゴールデンゾーンの活用事例が見られます。コンビニの栄養ドリンクにおける最大の売れ筋(販売数量トップ)は大正製薬の「リポビタンD」ですが、実はゴールデンゾーンである最上段に陳列されているコンビニはそれほど多くありません。大半のコンビニは、最上段に「ユンケル」「ゼナ」といった高単価栄養ドリンクを展開しています。
栄養ドリンクの場合は「思わず手に取ってしまう」という効果よりも高い効果が見込まれる商品を「アピールしている」という目的が強いといえます。
手に取りやすいゴールデンゾーンに何が置いてあるか。そこに店の狙いが隠されています。コンビニに足を運んだ際は、ゴールデンゾーンの商品展開をチェックしてみましょう。近所にある複数のコンビニでチェックしてみると、違いがあって面白いですよ。
(この記事は2009年2月27日に初掲載されたものです。)