高いCSパフォーマンスを発揮していくために必要となる企業評価フレームの各項目の確認の視点とそのポイントについてお伝えしたいと思います。
【CS経営実現のための企業評価フレームと各項目の確認視点とポイント】
Ⅰ.企業の戦略課題・方向性
⇒当該企業を取り巻く環境や顧客満足に関する様々な経営認識を通じて、組織の方向性や顧客満足実現のための戦略方向性を確認する。
Ⅰ-1.企業プロファイル
Ⅰ-2.組織価値観
Ⅰ-2-1.企業のビジョン・ミッションおよび経営資源
【確認の視点】
組織として重要視しているビジョン・ミッションはどのようなものか、また、自社の経営資源をどのように認識しているか
【確認のポイント】
・組織として重要視しているビジョン・ミッションはどのような内容になっているか?
・それは全社員にどのような流れで伝わるのか?
・それぞれの職位に応じて要求している果たすべき役割は何か?
・部下の理解のためにはどのようなことをしているのか?
・自社の経営資源にはどのようなものがあるか、またCSに貢献する経営資源にはどのようなものか?
Ⅰ-2-2.顧客認識
【確認の視点】
顧客が自社に期待している提供価値をどのように認識しているか、また顧客、市場をどのように理解・認識しているか
【確認のポイント】
・自社が獲得していくべき市場をどのように認識しているか?
・組織として自社に対する顧客の期待をどのように認識しているか?
・自社が提供している価値にはどのようなものが存在しているか?
・それはどのような背景から発生しているものか?
Ⅰ-2-3.競争認識
【確認の視点】
事業エリアにおけるポジションや競合他社に対する認識及び成功要因をどのように認識しているか
【確認のポイント】
・自社の市場におけるポジションはどのようなものか?
・競合他社はどのような企業か、その特徴は何か?
・それに対する自社の優位性にはどのようなものがあるか?
Ⅰ-2-4.変革の方向性
【確認の視点】
人的資源、主要ノウハウ、主要ビジネスパートナーの変革の方向性をどのように考えているか
【確認のポイント】
・自社として今後どのような変化をしていくべきであると考えているか?
・現在の取組をさらに成熟させていく上で意識していることはあるか?
・そのためにはどのようなことが必要であると考えているか?
Ⅰ-3.顧客満足戦略
⇒組織の認識に従って策定された顧客満足戦略もしくは顧客に対する具体的な方針を確認する
【確認の視点】
顧客満足をさらに高めていく上で、どのような戦略を策定しているか
【確認のポイント】
・顧客満足に対しての戦略はどのような内容か?
・それはどのようなプロセスで設定され、展開されているか?
・最も重要視している考え方はどのようなものか?
Ⅱ.戦略方向性に従った活動
⇒顧客満足に対する様々な経営認識を通じて、策定した組織全体の方向性と活動内容の整合性を確認する。
Ⅱ-1.CS推進力
Ⅱ-1-1.経営者のリーダーシップ
Ⅱ-1-2.経営幹部のリーダーシップ
【確認の視点】
価値観実現に向けた「経営者のリーダーシップ」を発揮している取り組みにはどのようなものがあるか
【確認のポイント】
・普段から意識・行動していることはどのようなことか?
・現場情報をどのようにして収集しているか(報告プロセス・KPI)、
またどのように現場に関与しているか(対応・頻度)?
・幹部が立場に応じて果たすべき役割と責任はどのように設定?
Ⅱ-2.CSを支える業務
Ⅱ-2-1.コミュニケーション
【確認の視点】
CS実行を推進していく上でのコミュニケーションの取り方や共有化
の方法にはどのようなものがあるか
【確認のポイント】
・どのようにして日常のコミュニケーションが図られているか、また
CSに関する情報はどのようなプロセスで展開されているか?
・現場での情報共有はどのように取られているか(対応・頻度・時間)、
またそれはどのようにして確認されているのか?
・コミュニケーションの成果としての行動はだれがどのように確認
しているか、またそれらはなぜ定着しているのか?
Ⅱ-2-2.顧客対応スタンダード
【確認の視点】
CSを推進していく上での自社のスタンダードがあるか
【確認のポイント】
・自社のスタンダードもしくはそれに該当するものがあるか、
またその効果はどのようなものと認識しているか?
・それはどのような背景で設定されたものか、またそのコントロールは誰が責任を持って展開、定着させているか?
Ⅱ-3.CSを支える人材
Ⅱ-3-1.人材採用
【確認の視点】
CSを推進するための人材をどのような基準やプロセスで採用しているか
【確認のポイント】
・自社にはどのような採用基準があるか、またなぜそのような基準になっているのか?
・最も重要視しているポイントは何か、またなぜそのポイントを重要視しているのか?
・自社の採用基準にしたがい、どのようなプロセスでだれがどのように関与しながら、採用を行っているか?
Ⅱ-3-2.人材育成
【確認の視点】
個人と組織の能力向上に対してどのような取り組みがなされているか
【確認のポイント】
・実施している能力向上プログラムはどのような理由で設定されているのか?
・最も重要視している習得項目(スキル等)は何か、またなぜそれ重要視しているのか?
・現在認識している人材育成に関する課題は何か、またそれは教育で改善できるものか?
Ⅱ-3-3.評価のしくみ・モチベーション
【確認の視点】
CS実行に対する評価の仕組みや社員のモチベーションを支える対策にはどのようなものがあるか
【確認のポイント】
・CSを実行させる上で、どのような評価方法や評価項目を設定しているか、またそれに対するインセンティブは設定されているか?
・社員のモチベーションを支える取り組みにはどのようなものがあるか、またそれはなぜ設定され、定着しているのか?
・どのようにしてモチベーション維持をしているか、またそれらに対する課題は何か?
・社内不満はどのように処理しているか、またESに対して意識的に取り組んでいることはあるか?
Ⅱ-4.CS活動の測定
Ⅱ-4-1.顧客情報の収集
Ⅱ-4-2.顧客満足度の測定
Ⅱ-4-3.顧客情報共有のしくみ
【確認の視点】
「顧客情報のマネジメント」として、顧客関連情報をどのように収集・析し、活用しているか、また、情報共有の環境にはどのようなものがあるか
【確認のポイント】
・どのような顧客情報を収集しているか、またどのような情報管理及び活用をしているか?
・CSを測定、分析、活用するプロセスはどのようなものか、またそのプロセスマネージャーはだれか?
・それらのCFS及びKPIにはどのようなものがあるか、それらを通じてどのようなことが認識でき、改善につながっているか?
・それらの行動はなぜ定着しているのか?
上記のフレームと現状確認の視点やポイントを活用しながら、現状評価をしていくことで、強み・弱みが明確になると同時に、それを踏まえた課題抽出と改善策立案・実行につながるのです。
重要なのは、「Ⅰ-2.組織価値観」と「Ⅰ-3.顧客満足戦略」の関連性があり、かつ「Ⅰ-3.顧客満足戦略」と「Ⅱ.戦略方向性に従った活動」が連動していることが企業全体としての有機的に結合した状態であり、これにより、高いレベルでのCS実現が図れるのです。
以上、CS経営実現のための企業評価フレームと各項目の確認視点とポイントをお伝え致しました。
(この記事は2008年4月14日に初掲載されたものです。)