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顧客接点から事業を考える

最近、次世代経営者の方々とお話していると、注目している、もしくは気にしている業界の筆頭にあがるのが「コンビニエンスストア業界」と「電子商取引業界」の二つです。直接競合しにくいBtoB業界(法人取引主体の業界)の方であっても、道工具販売サイトの「モノタロー」のような工場直販サイトが成長していたり、自社の顧客から事業への取り組み姿勢をwebで比較されたりしていく中で、意識せざるを得ない状況になっているようです。

少し古いですが2013年の商業統計では、コンビニエンスストアの市場規模は9.8兆円、電子商取引の市場規模は9.5兆円とされていました。
両業界ともまもなく10兆円市場規模に成長するものと思われます。事業を受け継いで行く立場としては、自分達が所属している業界を意識しているだけでは、想定外の競合から侵略されて衰退するリスクが高まっています。

成長業界の取り組みを自分達の業界に翻訳して、自社の新しい取り組みを考えて行かなければ、衰退、縮小していくことを自覚されているのでしょう。危機感を持った後継者の方々とお話していると身が締まる思いがします。

さて、今年に入ってから後継者の皆さんと意見交換の多いテーマは「顧客接点のあり方」です。マルチチャネルからオムニチャネル戦略へ、セブンアンドアイホールディングスやユニーなどの大手流通業が本格的な展開を対外告知したり、専門部署を構えたりしていることから、自社としても何か考えなければならないと危機感をもつている方が増えた影響だと思います。

私が親しくさせていただいている地域家電店(いわゆる街の電気屋さんです)業界でも、オムニチャネルを題材の一つとして、自社がどこまで対処できるかを検討されています。地域家電店は店舗を持ちながら訪問対応で販売、サービスを行う「有店舗訪販」をしている業界で、現在はお客様の総合相談窓口機能を充実し、リフォームや太陽光発電などの環境製品にも注力しており「生活支援ビジネス」へ転換しつつある業界です。

これまでは高齢者を中心としたビジネスでしたが、家そのものに手を加えるリフォームや投資の大きい太陽光発電の設置となると、信頼できる業者か否かをご家族全員で評価するケースが多くなりました。このような場合に、ホームページを経由した自社紹介や施工例、SNSでの評判を確認されることが多くなっているそうです。つまり、ビジネスとしては小商圏、直接訪問の接点で成り立ってきた業界なのですが、信頼性を保つための情報発信はマルチチャネルにならざるを得ない状況になっているのです。

この時に、通信販売機能部分を除いて、情報をクロスさせて意思決定をしていただきやすい環境を作りたい、つまりオムニチャネル的な発想で検討しなければ将来最適にはならないとお考えの後継者が増えてきました。お客様宅に訪問し、直接販売をしているオフライン(リアル)業界でも、信頼の背景をオンライン (バーチャル)でつくらなければならなくなってきたということでしょう。

自社の顧客との接点を顧客の視点から見直し、利便性を追求すると同時に、自社を選択していただく要素を考えなければならない、これが時流適応そのものと言えるでしょう。