前回では、フランチャイズチェーンの加盟拡大を効果的に進めていくために、ただ事業説明会を開催するのではなく、加盟拡大シナリオを構築することが重要であることをお伝えいたしました。
今号では、加盟拡大シナリオを構築していくためのアプローチとそのポイントをご紹介していきます。
加盟拡大を進める際には、M&Aやエリアフランチャイジー等の手法もありますが、今回はプロモーションを中心とした手法についてお伝えしていきます。
加盟拡大シナリオを構築する際のアプローチとしては、
(1)競合他社とのフランチャイズパッケージを比較し、自社のUSPを明確化する
(2)USPにフィットするターゲットを選定する
(3)選定したターゲットに対するプロモーション施策を立案し、実行するというステップでのアプローチが求められます。
まず、(1)競合他社とのフランチャイズパッケージを比較し、自社のUSPを明確化する、というステップですが、業態とフランチャイズパッケージ・本部体制の視点から競合他社にはない自社独自の要素、また圧倒的に高いレベルを維持している部分はどのような部分かを検証していくことが必要となります。
自社でアピールしたい内容であったとしても、加盟候補企業は他チェーンとの比較・検討をしながら、魅力あるフランチャイズチェーンを選択していくケースが多いため、競合他社にはない自社独自の要素、また圧倒的に高いレベルを維持している部分を抽出することが重要なのです。
明確なUSPが見えづらい場合には、加盟拡大を推進する以前に業態とフランチャイズパッケージ・本部体制のブラッシュアップを図ることが優先課題となるでしょう。
競合他社とのフランチャイズパッケージの比較・検証を行い、USPが明確化された段階で、その内容が最もフィットするターゲットを選定していきます。
ターゲットは業種・業態により異なりますが、一つの参考例としては、(1)大規模フランチャイジー、(2)小規模フランチャイジー、(3)同業他社、(4)異業種参入、(5)独立開業希望、といった視点でターゲット候補をセグメントすることが必要です。
それぞれのセグメントの特徴やニーズを確認したうえで、自社のUSPが上記のどのターゲットに最もフィットするか、を見極めることがポイントとなります。また、USPがフィットするかを見極めながら、アプローチしていくターゲット層のプライオリティをつけ、プロモーションを実行していく、といった流れになります。
USPを明確化し、それにフィットするターゲットを選定し、アプローチのプライオリティづけを行った次の段階としては、プロモーション施策を立案し、実行していくわけですが、ここで重要なのは、ターゲットに対して、段階的なアプローチを行っていく、ということです。
加盟を検討する企業の加盟決定までのプロセスを大まかに分解し、それぞれの段階にあったアプローチを行うことが効果的です。例えば、「企業の認知」⇒「興味・関心」⇒「比較・検討」⇒「決定」といったプロセスに分解し。段階に応じた媒体と訴求内容、企画を決定していく、といったアプローチになります。
このように、自社のフランチャイズを競合他社と比較し、明確化USPを抽出し、その内容が最もフィットするターゲット層を選定し、加盟候補企業の決定プロセスに応じた段階的なプロモーションを実施していくことで、事業説明会等の取組効果も高まるのです。
(この記事は2008年3月5日に初掲載されたものです。)