MENU
×

MENU

お問い合わせ マイページ

脅威の人間誘導力

皆さんは普段何気なく、コンビニに寄りお昼ご飯を買ったり、夜ご飯を買ったりしている動きが、実はコンビニ側(店舗経営側)から行動が誘導されているって知っていましたか?

突然、このような事を聞かされると、不愉快な思いをされるかも知れませんね。「催眠術か?」「洗脳か?」と不安にさせてしまったかも知れません。前回のお話の続きですが、現在日本に存在しているコンビニは「行動心理学」を徹底的に応用したお店なのです。

人はお店に入ってからどのような動きをするのか? どのような基準で商品を選ぶのか? どうすれば商品を買いたくなるのだろうか? 等、コンビニ側がどのように準備をすればお客さまは商品を購入するのか? ということを考え、具体的に展開しているのです。

コンビニは日本一坪当たり生産性が高いお店です。要は、狭い店舗面積を最大限有効活用しているから実現しているのです。事例はちょっと違いますが、ドンキホーテも同じような考え方です。ドンキホーテは商品をドンドン積み上げられれば狭い店内を有効活用できると考え、売場を作っていますね。

コンビニはちょっと違います。どうすれば、お客さんが買いたくなるのか? を考えてお店づくりをしています。大きな事象を2点お伝えいたしましょう。

■ 情報発信機能

店内に入ると最初に見える売場を「エンド」と呼びます。お客さまが最初に見る売り場です。エンドゴンドラは「情報の発信」という役割があります。今、お店が売りたいと思っている商品、キャンペーン、伝えたいメッセージを商品の陳列展開を通じて情報発信しています。例えば、その週に発売された新規商品が陳列されていたり、今日現在実施しているキャンペーンの説明などが行なわれています。

人間はお店に入ってから4メートル歩かないと消費行動に移れないと言われています。お店に入ってからしばらくの間に「消費行動に関する情報収集を行なっているのです」この時期に「このお店で何を買おうか? 今、お店は何を売ろうとしているのか?」という情報収集です。情報収集を行なっている間は消費行動は起こりません。ただ、この時期にお客さまに向けて効果的な情報発信ができると、お客さまの消費欲求は高まるのです。

コンビニでは、エンドに情報発信の仕掛けをしておき、お客さまの潜在意識に「これが、今日のおすすめですよー」と、情報を植えつけているのです。そうすると、お客さまは店内を歩きながら、「今日は何を買おうかな」と何気なく商品を見ているときに、エンドゴンドラで確認した情報が頭に浮かんできます。「あっ! そういえば、コレが新商品だったな」と情報の再確認ができ、購入意欲が沸くのです。

エンドゴンドラで陳列している商品自体はほとんど売れません。しかし、このゴンドラで効果的な商品情報の発信ができると、お客さまは「この店はいつも新しい商品がある。何か面白いことやってんじゃないか?」という心理的な効果を与えることができるのです。

エンドゴンドラと同じようにコンビニに入り最初に目が行く場所に「雑誌売場」があります。よく立ち読みをしている場所ですね。雑誌売場がガラス窓側にある効果は、

 ・ 立ち読み客を誘蛾灯として、お客さまを外から呼び込む役割
 ・ お客さまが情報を確認する場

の2点にあるのです。

■ 店内レイアウトの秘密

夜ご飯を買いに、皆さんがコンビニに入った時にどのように動いているでしょう?

 1. 雑誌売場に行き、立ち読みをしながら、雑誌を物色。
 2. ドリンク売場に移動しお茶・お水を購入。
 3. デザートを購入。
 4. 明日のパンを購入
 5. 弁当、おにぎりを購入。
 6. レジカウンターに移動し、レジ精算。
 7. ふと、気になったお菓子をついでに購入。

大半の方がこのような動きをしていませんか? お客さまのこのような動きを実はコンビニは意識的に狙っているのです。

一般的な売上を因数分解しますと、「売上=客数×客単価」となります。
売上を上げたいと考えると、客数か客単価を上げる必要が出てきます。客単価を上げるためには、一品でも多く購入してもらう必要があります。一品でも多く商品を買ってもらうためには、店内に入ったお客さまを一歩でも二歩でも多く店内を歩いてもらう必要が出てきます。そのために、お客さまがよく買う商品(回転数の高い商品)を店内の端に陳列しているのです。

216_2脅威の人間誘導力

お客さまの歩く距離を長くする(客動線)ために、店内の端・端に商品回転率の高い商品を陳列するのです。お客さまがたくさん歩けば歩くほど、更に商品を買ってくれる可能性が高まります。

何気なく商品が並んでいるように見えますが、コンビニのお店づくりには、細かい狙いがあるのです。お客さまに、いかにしてたくさんの商品を買ってもらうか? を日々考え続け変化対応をし続けた結果ですね。
(この記事は2008年10月29日に初掲載されたものです。)