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インターナルマーケティングで勝ち残る

インターナルマーケティングとは、サービス業において、高レベルの顧客満足(CS)を与えるために、まず、その提供者である身内の社員に対しての教育と動機付けが不可欠であると言うことから、生まれた考え方です。この考え方を進展させると、インターナルマーケティング発想での利益方程式は、「利益=一人当たりの生産性×社員数」となります。

この方程式で大切なことは「時間当たりの生産性」であることです。長時間働けば、生産高が高まるのは当たり前なのですが、長時間労働を前提にすると、社員のモラル低下を起こし、離職につながります。よって業績を上げるために必要なのは、一人当りの時間生産性を高めるための「仕組み」と「教育」、社員数を増やすための「採用力」と「定着力」ということになります。
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今回のコラムでは、この「定着力」について触れたいと思います。いくら採用しても教育しても、その人材が定着しなければ意味がありません。ブラック企業として有名になってしまった某飲食チェーンのように、人手不足のための営業不能、業務事故、訴訟の発生など、明らかに経済損失が顕在化しているケースは稀としても、数字で表しづらい機会損失というところまで視点を広げて考えれば、相当の経済損失につながっているはずです。

一方、私のクライアント企業で、リーマンショック後に売上を約2倍にした会社があります。現在も社員数30名程度の町工場のような会社です。特別な商品があるのでもなく、特許級の技術がある訳ではなく、ただ普通のモノがちょっと高い品質で提供できているだけ(言うのは簡単・・・実はそれが一番難しい)の会社です。しかし、着実に売上・利益は現在でも拡大し 好循環に入っています。

そのきっかけが、リーマンショクによりバタバタ倒産していった幾つかの同業業者から、優秀な社員を数人引きことができたことです。優秀な人材が働きたいと思われる会社だったことが成長のポイントだったのです。つまり、すごい顧客・すごい商品力があったからではなく、働きたいと思われる会社であったから、優秀な人材を採用でき、顧客が求める商品が実現したからなのです。継続的に成長を続けている会社は、働きたいと思われる会社です。

ほとんどの会社で、その重要性について充分に理解しているはずです。ですから、意識に働きかけをして、パフォーマンスを高め、辞めないように「動機付け」をするのですが、残念ながら「意識への働きかけ」だけでは限界があります。「働く喜び」とか「努力すれば報われる」という感覚は、教えられるものではなく経験から得るものなのです。また、社員満足が大事であると言いながらも 実際に一般的なマーケティング(刻々と変化する顧客ニーズの把握や、顧客獲得のためのアプローチ)が圧倒的に優先され、このインターナルマーケティングはプラスα的な扱いです。言葉は悪いですが、顧客と商品ありきで、そのための手段としての「社員満足」という構図です。それを社員に見透かされてきています。

「頑張れば報われる」と言ったところで、そこに現実性(実現可能性)は低く、せいぜい頑張っても、人並みの生活が出来るレベルで、「働く喜び」と言われてもピンとこないと言うのが現実なのです。ですから、超一流企業を除けば、ほとんどの会社で「人材不足」どころか「人手不足」です。私クライアンと企業でも、「戦力化」云々の前に 離職者が多い、離職者が出るから、その分残る社員の負荷がかかるという悪循環、そこから脱出すべきために、採用しようと思っても思うように採用ができない。という状況に陥っているのです。

ぞのなかで重要な要素の一つが「長時間労働」にあります。どの会社でも「効率化」テーマとしていますが、なかなか進んでいません。特に仕事のスピードUPなどの個人に依存する改革ではなかなか実現しにくいのです。特に人の入れ替わりが多い会社では、経験値の蓄積がすすまないので、スピードUPがなかなか進まないのです。成功している会社に共通しているのは、「やめること」を共有していることです。例えば会議は「1時間で止める」、「社内資料ではパワーポイントは止める」「6時間以降の会議は止める」等々を共有しています。

やればいいことを挙げてやることは簡単ですが、効率化するというより、もう一度仕事を見直し、「止めること」を決めることです。何も難しいノウハウはありません。実は第三者の目から見ると、「止める」決断ができるか否かだけです。イギリスのコラムで「日本人を不幸にしている元凶は『お客様は神様だ!』という言葉にある。』という記事を見ました。この言葉にもう一つのヒントがあるような気がします。