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2009年下半期の不動産マーケット予測~総じて厳しい状況は続く。それらを前提とした戦略、行動、覚悟が必要不可欠~[マーケティング戦略・営業戦略]

にわかに景気の底打ち感も出始めた景気環境。不動産市場においても若干の上向き加減が見え隠れし始めましたが今年の下半期には、本格的回復に至るのか。マンション、オフィス、J-REIT、不動産証券化市場の動向から、今年下半期の動向を予測します。

早いもので今年も半分が終わりました。弊社は12月決算なので、3月決算の会社と比較しても折り返し地点となる6月が、今年の前半の振り返りと後半の予測、仕掛けを考える大切な時期となります。

そこで今回は「2009年下半期の不動産マーケット予測」と題して、今年後半の市況感について、私なりの感触を皆様にお伝えしたいと思います。
まず一昨年、昨年と大きく後退した分譲マンションの市場動向についてです。今年、特に年度が変わってから、在庫調整による価格調整や、ずっと買い控えていたお客様のモデルルームへの回帰が、少しずつ顕在化してきました。

また今年の秋口からは新規供給されるマンションが、仕入れ段階での用地価格や建築コストが落ち着いたプロジェクトになる為、これまでの販売不振の最大のキーとなっていた購入希望価格と販売価格との格差がある程度埋まることが予想されています。

しかし、私は、根本的なマンション不況はまだ続くと考えています。マンション不況という言葉の定義は難しいのですが、少なくともこれまでのような首都圏でいうと年間8万戸ペース、全国でいうと20万戸ペースの時代はもう終わったのだと思います。

マクロ的な転換点が、今回の不動産不況をきっかけに、明らかとなったと見ています。
例えば、住宅購入者層。これまで団塊Jr.や団塊Jr.ネクストと言われる主に30代の層が、マンションのメインの購入者層だったのですが、今後、団塊Jr.が40代に入り、団塊Jr.ネクストが30代の中心となる頃には、30代の総数は大きく減少していきます。そもそもの購買力の低下が見込まれるということです。

また振り返って見ると、日本にマンションが望まれた根本的な需要要因は、大都市圏で地価が高くなりすぎて一般庶民には戸建が手に入りにくくなった、つまり「手軽な価格でよい立地」であったはずです。このような物件がこれからどれくらい現れるのでしょうか。

好条件の用地は減少していく一方です。今後は戸建が手軽に買える立地でも「あえて」マンションに住む「マンションじゃないと駄目」という需要をいかに創造するか。相変わらず持家志向は高い国民性ですので、マンションというもの独自性、付加価値を、購入後のライフスタイルを含めてどう表現し、訴求するか。まさに量から質への転換が既に求められているのだと思います。
オフィスビルの市況についても残念ながら私は、ネガティブな意見を持っています。

ここ数ヶ月で空室率が急速に高まってきたビルマーケットですがいわずもなが、ビルの市況は法人の企業業績、景況感に大きく左右されます。09年5月の都心五区の空室率は6.96%(三鬼商事調べ)07年5月が同2.71%ですからこの2年で4%を上昇したことになります。

企業業績は、もちろん業種や規模によりますが、様々な観点から私は少なくとも来年2010年までは本格的な回復が難しいように感じています。もっと回復の時期は遅くなるかもしれません。

マンション市況でもそうですが、私が常に皆様にお伝えしているのは、現状を冷静に認識し、それに基づいた戦略、行動を実施するということです。ネガティブなトレンド、動向を判断したときの捉え方です。オフィス市況も本社の拡大、支店や営業所の新規出店は、当然減少していますが、逆にオフィスの縮小(リサイズ)、支店、営業所の統合による中規模サイズへの移転などは今、増えています。現在の市況を捉えた戦略や行動が必要になるということです。

J-REITや不動産証券化のマーケットについては、今後リファイナンスの時期を迎える案件が多いようですが、その状況によっては不動産価格の下げ圧力に大きな影響を及ぼす可能性もあります。J-REITについては、官民ファンドをはじめとする支援策に期待が集まっています。多くなりすぎた銘柄の整理も必要だと思われます。

いずれにしても不動産取引そのものが、昨年は大幅に減少し、J-REITで対前年比65%減、建設・不動産業の取引では77%減(都市未来総合研究所調べ)という散々な結果でした。

J-REIT及び不動産証券化市場の回復は、日本の不動産マーケットの復活に必要不可欠ポイントだと思われますが、この市場はいまやグローバルな景況感と密接に連動します。

世界的な景気の低迷がいつ本格回復するのか。このあたりも冷静に見ていかなければならないと思います。
以上、09年の下半期は総じてまだまだ厳しい状況が続くというのが私の見方です。

もちろん、だからといって何もできない、しないわけではないのです。このような状況を前提に、今私たちが取るべきアクションを明確にさせていく覚悟が必要だということです。
(この記事は2009年7月10日に初掲載されたものです。)