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「値下がりしない物件」はどう見極める? お金に賢い人に共通するマンションの正しい買い方

ある不動産会社に勤める友人がこんなことを言っていた。

「やっぱり、俺たちプロだから賢く住宅を購入しないと。資産価値の下がらない物件を安く買って、いいタイミングを見計らって、売却する。そして…」

彼らは、土地の値上がり神話がはるか昔に崩壊しているにもかかわらず、賢い住宅の買い方を心得ている。

日本では、いわゆる“富裕層”が、欧米に比べてまだ少ない。

相続によって裕福な暮らしをしている方や、
たまたま商売で成功してつかの間の裕福な暮らしをしている俄かリッチ(?)の方はお見かけするが、
それが真の富裕層かというとそうでない気がする。その方たちは、どうも真の富裕層と生活スタイル、消費スタイルが異なるからだ。

しかし、商売を安定的な成功に導き、真の富裕層と呼ぶにふさわしい方々も確実にいらっしゃる。
彼らは事業の成功方法だけでなく、活きたお金の使い方、賢い消費の仕方、そして賢い家の買い方を心得ている。
それは、自ら知恵を絞ったのかもしれないし、プロからアドバイスしてもらったのかもしれない。

いずれにせよ、はっきりと言えることは、こうした方々の住宅購入には共通する「ある傾向」があるということだ。
また、前出の不動業者の友人が語る住宅購入術と、賢いお金の使い方を心得ている方が実践している住宅の買い方もかなりの点で共通している。

では、その共通する住宅の買い方とは一体どのようなものか。

これまでは良い物件の見分け方を建築物としての観点から説いてきたが、
今回は別の観点から、賢い住宅(マンションが中心)の買い方について考えたい。

■ 18年前に買った物件は今や半値以下!? 止まらないマンション資産の目減り

以前、『住宅は「持ち家」と「賃貸」どちらがお得!?』という内容の記事を掲載した。
そして、賃貸のままの一生を過ごすほうがいいのか? それとも持ち家の方がいい? という疑問に、一定の回答をさせていただいた。
ただ、自分自身のライフスタイルとローンに対する信頼性(具体的には年収)により、その答えは異なる。

賃貸の場合、賃料と年数の掛け算が支払額で、主たる不確実要素(自分の収入除く)として賃料のアップが挙げられる。
もちろん、いくら支払っても後には何も残らない。

一方、分譲マンションを購入する場合、ローン支払額(元金+利息)、マンション管理・修繕積立金、これらの年数分が主な支払いである。
ローンの支払いが完了すると、管理・積立金は必要であるが、マンションは自分のものとなる。

しかし、ここで、大きな不確実性要素(リスク)が発生する。
それは、分譲マンションの場合の資産がどれくらい目減りしているか、である。

この疑問に一定の目安を示してくれる指数が、
中古マンションの値動きを基に算出される(現在は首都圏のみの数字)「東証住宅価格指数」(平成23年4月末~公開)だ。
この指数が公開されるようになり、1993年からの大幅な資産価値下落が顕(あらわ)になった。

例えば、(指数どおりとして)1993年に買ったマンションなら現在築18年であるが、
首都圏の平均指数に従えば、2000年(当時、築7年)には約半値(資産価値半分)、2011年には約40%となっている。
もちろん、1993年と比較すればこれほどの大幅な下落であるのだが、
2000年との比較(築11年)では、現在80%程の資産価値となっている。(参考⇒『バブル後、住宅購入のベストタイミングはいつだったのか~ついに始まった「東証住宅価格指数」を読み解く』)
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とはいえ、こうした指数を見るまでもなく、毎日ように自宅にポスティングされる中古マンション販売のチラシを見て、「我が家の現在の価値はこんなものか」と嘆いている方も少なくないことだろう。

多くの人々は、かつてのように購入した不動産の値段が上がる(キャピタルゲインがある)ことは、ありえないと確信している。
したがって、新築マンションを購入しても、10年もすれば、中古マンションとしての売り・貸し価格がかなり下がることをもちろん知っているのだ。

こうなると、「持ち家はやっぱり止めた方がいいかな。う~ん」と悩んでしまうのもやむを得ない。
やはり賃貸の方が身軽だ。この先どうなるか分からない景況感のなか、たとえ超低金利と言われても、35年もローンを抱えるのを負担に思って当然だろうと思う。

■ マンションを2つに分類する~消費マンションと資産マンション~

先に書いたように、一般的に分譲マンションは、購入してから10年もすると、大きく資産目減りしてしまう
(これには、いろいろな理由がある――住宅資産目減りの激しさは、欧米に比べ日本は激しい――が、本論から外れるのでここでは省く)。

しかし、なかにはそうでないマンションもある。10年経って、中古物件として売りに出しても、購入時から大きく値を下げない物件だ。

広尾・青山・白金・目黒…といった東京一等地エリアに存在するマンションなどはイメージしやすいだろう。

ただ、こうした、うらやむような高級住宅街以外にも、いくつかの私鉄・地下鉄沿線沿いの駅近くにもそうしたマンションが見られる。
決して億ションばかりではない。
上場企業のサラリーマンなら十分購入できそうな金額のマンションである。

このような違いから、資産目減りが大きい物件は「消費型マンション」、
一方、年数が経過しても値段が下がりにくい物件を「資産型マンション」と言うことができる。

■ 年数が経過しても価値が下がりにくい「資産マンション」の条件

資産マンションの傾向を羅列してみると、実は都心の一等地だけでなく山手線外ででも見つけることができる。
中古マンションの販売広告に物件が登場しにくいエリアである。
もちろん、こうしたエリアでは賃貸物件の賃料も高い。

そうしたエリアでかつ駅から歩いて徒歩10分以内、近くに公園や寺院などがあるとなおよい。
さらにその地域が文京地区なら最高だ。
すると、例えば東京23区などでは、すぐ20くらいの駅名が浮かぶだろう。

■ 無理のない範囲で価値ある物件を選ぶ、お金に賢い人の買い方

お金に賢い人とは、必ずしも人がうらやむようなお金持ちを指すわけではない。
大企業などに勤め、ある程度の収入がある人の中にもそういう方はいるだろう。

お金を賢く使う人は、本当に価値ある物、流行に左右されないモノ、
長く使えるモノにはたとえ高額でも思い切ってお金を使う一方で、
普段はつつましやかにお金を使っている。
価値ある商品を長く、修理・修繕しながら大切に使うほうが、結果的に安上がりと言うことに気がついているからだ。
例えば、靴、時計、衣服、自動車…などである。

こうした消費スタイルで住宅を選ぶと、自然に選ぶ物件が決まってくる。
もちろん、ローンを無理して組むのではなく、無理のない範囲の物件を購入することが条件だ。

これぞ思う物件がなければ、ちょっと待ってみる。
また、最低限の自己資金が貯まるまでは、待つ。
そして、「見つけたっ!」と思えば、一気に決断する。
そのため、お金に賢い人が狙う資産型マンションはたいていすぐに完売となっているようだ。

また、マンションディベロッパーもこうした物件に関しては、慌てて値下げして販売していない。

いいマンションは、値下げされない。いいマンションは値段が下がらない。

これからマンションを購入される方は、今回ご紹介した点を参考にしていただけると嬉しい。

(この記事は2011/10/24に初掲載されたものです。)
(出典:ダイヤモンド・オンライン