MENU
×

MENU

お問い合わせ マイページ

サマータイムは消費を押し上げる救世主!? 節電で生まれる“アーリータイム市場”とは何か(後編)

前編の続き)

◆朝食市場、スクール需要、百貨店の来客増…アーリータイム市場の持つ価値

朝は出社時間が1時間早くなり、夕方は退社時間が1時間早くなる。これがサマータイムによるワークスタイルの変化です。

つまり、朝8時の出社が、朝7時の出社になるため、今までよりも早く仕事を始める人が増えます。早く仕事を始める人が増えることによって、そこに新しい市場が生まれると考えられます。

まず、朝食市場です。これからは5~7時までの朝食マーケットが伸びていくことでしょう。喫茶店やファストフード店、ファミレスは朝5時頃から店を開ければ、アサイチ客を取り込めるはずです。

コンビニでも朝食需要が一層高まることでしょう。おにぎりやサンドイッチ、それにドリンクをセットにした朝食セットや、味噌汁などのスープ類、また、朝食用の新しいメニューなども注目されるでしょう。

また夕方、会社を出る時間が早くなる人も増えます。サマータイム導入企業では、これまで終業が夕方5時だった人は、4時頃には帰宅することになります。

その時間に仕事を終えて、すぐに家に帰ればいいのですが、家に帰りたくない人も多いはず。そんな人たちは新しくできた夕方の時間を満喫しようとします。そこで生まれるのが、いわゆる“アフター4市場”です。

そんな動きを捉えて、居酒屋ではアーリータイムが動きます。5時前の入店は割引などのサービスがどんどん増えていくことでしょう。

居酒屋チェーン運営のコロワイドは関東地方で展開する系列の「北海道」40店舗で、夕方の開店を1時間早い午後4時に繰り上げるなどの対応を始めています。

8月31日までは、午後4時~6時に来店したお客様に対し、アルコールの一部を半額にするなどのサービスで集客増を仕掛け始めました。


また、語学学校や専門学校などのスクール需要も増えるでしょう。語学学校のGABAは7月をめどに、仕事帰りの会社員らを対象とした「夏の短期集中プラン」を始めるそうです。朝が早くなったことで朝早い時間帯から語学教室を始めたところもあります。

スポーツジム、ジョギング、マラソン、自転車などのスポーツ人口も増えていくことでしょう。

都内のOLの声でよく聞くのは、「これでゆっくりと百貨店で買い物ができる」というもの。今までは閉店間際に駆け込みで行っていたのが、これからはゆっくりと洋服を買いまわれるということで、洋服や雑貨などへの消費もプラスになることが考えられます。


つまり朝と夜のアーリータイムは、確実に新たな消費を盛り上げると言えるのです。


◆「アーリータイムに対応できない人」向けの商品・サービスにも注目

また、私はこんなビジネスチャンスもあると思っています。

サマータイムが導入され、始業時間が早まったとはいえ、朝早く起きるのに慣れていない人たちが圧倒的に多いという現実があります。これまで朝型で仕事をしてきた人はいいのですが、夜型で仕事をしてきた人にとっては、始業が1時間早まるというのはかなりきついはずです。ですから、朝起きるため、また、日中起きていられるようにするためのツールや場所、サービスが流行ると私は考えています。

目覚まし時計は、あらためて売れることでしょう。スマートフォンのアプリでも目覚ましアプリなどが開発されてくるはずです。「〇〇さんの声で朝の目覚め」をというようなアプリは受けるかもしれません。

また、お昼までにお腹が空いてしまう人も増えるでしょう。そんな人のために、早めのお昼タイムができ、10時過ぎからランチをとれるようにする店もでてくるかもしれません。昼のピークタイムが前倒しされることが考えられます。

さらに、朝が早いので、お昼を過ぎると眠くなる人も多くなりそうです。そんな人のために、休憩用レンタルスペースやカラオケボックス、マンガ喫茶のような時間消費型サービスの利用が増えることでしょう。適度に睡眠をとって、それから働くというのも1つの働き方になるかもしれません。それに伴って、目薬や目を冷やすアイスノンのようなものも売れるでしょう。

こうした動きが本格化すると、今までの空白マーケットでお金を使う人が増えますので、消費効果は確実にあると言えます。

しかし一方では飲食店などは、夜が早くなったり、翌朝が早いので終電前に確実に帰るなどをする人が増える影響で、今までとれていた市場がなくなる、もしくは減るということも考えられます。同じ理由で、タクシー会社や深夜バスなどの需要は減るかもしれません。飲食店は二次会、三次会で来店するお客様が減る可能性がありますので、新しい販促策を考えておかねばならないでしょう。


◆アーリータイムを活用して勉強など自身のスキルアップを

いずれにしても新しい空白マーケットが世の中に生まれてくるのは、市場活性化の切り口にはなります。私はこの機会こそ、余暇時間の充実に励むというよりも、これまでできなかった自身のスキルアップなどの勉強や、人脈づくり、また家庭や地域でのソーシャル活動などに時間を使っていただくのがいいのではないかと考えています。

飲みに行くのはいつでもできますが、勉強や地域でのソーシャル活動などは、時間をしっかりとらなければできません。しかし、通常どおりの仕事生活をしている限りは、こうした活動には時間を割けないのも事実です。

今回の節電ワークスタイルは、このような、これまでやりたかったけどできなかった活動に時間を使うことだと思います。新しいワークスタイルへの変化とともに、自分の新しいライフスタイルを創り出すきっかけにしていただくことが必要です。企業もそこで働く人も、この機会を上手に活かしてほしいと思っています。

ブランディング