事業戦略や営業戦略を策定し、それを現場で着実に実行させていくことは多くの企業で重要課題となっています。
戦略立案に携わった経営者や経営企画の担当者からは、「戦略の策定そのものは問題がなかった。しかしそれを実行する段階で問題が発生した。」といった声をよく聞きますが、本当にそうでしょうか?
ここ最近の支援現場において特に感じることは、戦略の実行段階においてのみに問題があるのではなく、そもそもその策定段階に問題があるということです。
「戦略の策定」と「戦略の実行力」は、それぞれ個別に考えていくべきものではなく、常に一緒に考えていかなければなりません。つまり戦略を策定する段階から実行力を高めることを十分に念頭に置く必要があるのです。
戦略の実行力を向上させるために、企業の外部や内部の環境を精緻に分析した上でロジカルに戦略を策定してもそれだけでは実行力は向上しません。また、そもそも戦略はどれほど多くの時間をかけて納得できるものを策定したとしても、所詮は「仮説」ですから、その結果を検証、修正していく必要があり、この検証、修正は実行の中でしか生まれません。
極論になりますが、全く実行されない「絵に書いた餅」の戦略を構築するぐらいであれば、少々ロジックが不十分であっても現場がその気になって実行してくれる戦略を構築した方が、より成果につながっていく可能性は高まるでしょう。
「戦略の実行力を高めるポイント」として欠かすことのできない要素の一つとして、「現場の納得性」があげられます。そもそも、この「納得性」が欠如した戦略は実行される戦略に成り得ません。
現場の納得性を高める方法としては、主に3つのポイントがあげられます。
(1)戦略策定段階で、現場のメンバーを参画させること。
(2)今までの現場における成功体験、失敗体験から「現場の実感」に基づいた戦略を組立て、それを実行可能なものとするために必要なアクションを具体化すること。
(3)部門ごとに末端社員のレベルまでやるべき事を具体化し、実行主体となる現場担当者の意見も確認したうえで、実行可能の可否判断を行うこと。
上記3つに着目して戦略の落とし込みがされているかが重要なチェックポイントとなります。
ある映画で「事件は現場で起きているんだ!」といったセリフがありましたが、戦略の素になり得る要素は現場に多く存在しています。
これを現場から見つけ出し、戦略策定の際にフィードバックさせていくことで、現場の納得度合が高く、実行力のある戦略策定が可能になると考えます。
もちろん、上記を踏まえて策定をした納得度合が高い戦略であっても、先に述べたポイントを踏まえながら、定期的に検証、修正をかけていかなければならないことは言うまでもありません。
今一度、自社内における戦略が一部の策定メンバーだけの納得の上に策定されてはいないかどうかを検証されてみてはいかがでしょうか。