3月が決算期になっている会社は非常に多い。
それらの会社は、まさに今が今期決算に向けた追い込みの時期であり、同時に来期の計画を立案しなければならない時期でもある。
以前にも書いたように、ビジネスに関わっている多くの人は、PDCAを回せていないと感じていて、その理由をP(計画)とD(実行)を繰り返しているだけだからだと思い込んでいる。
しかしながら、現実的にはP(計画)ですら作れていないというのが実態だ。
なぜそうなってしまうのかというと、追い込みで頭が一杯のライン部門に対して、
今期の着地予想、それに基づく振り返りと課題抽出、来期の数値計画とその根拠、といった作業をやってもらわなければないからである。
当然のことながら、今の優先順位は今期の追い込みであり、
来期の計画など二の次で、来期のことは今期が終わってから考えたい、というのが本音なのではないだろうか。
では、誰がそれ(P)をやるのかという話になるが、それこそが経営企画という部門、あるいは担当者が本来やるべき業務である。
4月から12月までの期間で、会社に存在する全ての事業部門がどんな状況にあるのかをしっかりと把握し、来期の会社としての計画を立案する、ということだ。
経営企画がタタキ台としての計画をつくり、それを各部門と詰めていくような流れになる。
この方法をとると、以下のようなメリットがでてくる。
まず、経営企画部門が会社の展開しているあらゆる事業に精通することになる。
「市場は?」「競合は?」「顧客からの評価は?」といった疑問に答えられるようになるということだ。
これまで現場の意見を一方的に聞かされることの多かった経営陣も、少し視点の違う意見も合わせて聞けるようになるわけだ。
また、ライン部門も計画づくりに対する優先順位が高まることになる。
ある程度のことは知っているからと言って、経営企画部門に来期の計画を決められるのは我慢ならないというわけだ。
例えば、自分自身はまだ業績を上げられると思っているのに、
「他の事業の方が有望だから人員をそちらに配分する」といった計画案が出てきたりすることも防がなければならない。
結果として、計画をつくる段階でのコミュニケーションがとれるようになるとともに、計画の精度も高まることが期待できるのである。
もうお気づきだと思うが、この流れをつくるカギは経営企画部門だ。
多くの経営企画部門が、各事業部門の集計作業、経営会議に出す資料作成、のような作業に追われていて、本来やるべき“経営企画”に取り組めていない。
経営企画部門こそ、どんどん現場に出向いていって、「今、現場で何が起きているのか」を客観的視点で判断できるようにならなければならない。
単に、事業部門から上がってくる資料を見やすいレポートに仕上げるようなことをやっていても、本質的には意味が無いのだ。
よって、経営企画部門こそ、過去からの慣習や今までやってきた業務の流れ、
そういった常識を打破して本来やるべき役割を果たして欲しいと思う。
現場を代表して経営陣と議論できるくらいになれば、その会社はきっと伸びる。