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人材不足の今、考えるべきシステム化【5】

非常に魅力的なITシステムですが、反対に導入する事によってデメリットも起きてきますので、ITシステムを効果的かつ能率的に活用するには、これらのデメリットに対する対策にも、十分に考えなければなりません。例えば、システム管理に専門知識が必要である、突発的な処理の対応が難しい、情報漏洩のリスクがある、エラー発生時の対処が大変である等が挙げられます。

プログラム化して、業務に導入し、使用開始した後に、改善が必要となった時は、プログラムの書き換えやシステムの休止などをしなくてはいけなくなったり、他社の専門家でなければ対応できなかったり、会社全体に影響を及ぼすことになりかねません。ITシステムは決まった作業の処理には大変有効ですが、変更や修正にはかなりの手間が掛かってしまいます。しかし、これらのデメリットに対しても、設計段階からあらゆる利用パターンを想定し、正確な要件を定義しておくことで防止することができます。

 ITシステムの導入を検討する際に重要な視点は以下です。
(1)導入目的を正確に定義する
(2)機能要件は最低限に絞る
(3)適切なパートナーを選定する
(4)見えないコストまで考慮する

稀にお話を聞いていて、ITシステムの導入自体が目的となってしまっていないかと心配になるケースがあります。目的は具体的であればある程よく、数値で表現できていればなお良いです。それらはシステム開発の際には要件を整え、導入後のシステムを評価する際には「成功」の定義となるからです。

目的が「人事評価業務をITシステム化する」といったように本質的な表現となっていない場合、開発段階では本来不要な要件を追加しがちとなり、テスト段階では手戻り、運用段階では煩雑化してしまい、結果としてコストも膨れ上がってしまいます。導入目的が正確に定義されていれば、同時に機能要件を最低限に絞ることができ、コストを抑えた実用的なシステムを開発することができます。

とはいえ、ITシステムの導入に慣れていない会社では、導入目的が正確になっているのか、機能要件が最低限に絞れているのかを判断することも難しいと思います。そういった時に、それらを判断する指標としてお勧めがあります。相見積もりを取った際の費用のばらつきです。複数社から上がってきた見積もりのばらつきが小さければ、システム会社が想定する機能要件がある程度揃っているということを意味しておりますので、導入目的は正確であり、不要な機能も除けている状態だと考えられます。

一方、ある会社からは数十万円、別の会社からは数百万円の見積もりが上がってくることがあります。驚くかもしれませんが、全く同じ情報を提供しているのに、見積もりでこれほどの差が出てくることは珍しいことではありません。これはシステム会社ごとに機能要件にばらつきがあり、自社が定義しているシステム導入目的や機能要件が曖昧であるということを意味します。

相見積もりがある程度揃った段階で、やっとパートナーをフェアに見定めることが出来ます。会社の方針を理解してくれているのか、実績はあるのか、システムの工夫はどういった点にあるのか等、対面で説明していただくのが良いでしょう。しかし、どのパートナーに決めるにしても、見積書には載ってこないコストを考慮することが重要です。一般的にカスタマイズ性に優れる商品ほど、最初の見積もりよりも最終的にかかるコストが膨れ上がってしまうという傾向があります。

ITシステムは、カスタマイズ性でいうと、ほぼ無限です。予算だけでパートナーを決めることはもちろん避け、予め膨らんでしまうであろうコストを想定しバッファを持っておくことが重要です。このコラムを読んでいただいた後システム導入をご検討されれば、皆様にとってシステム開発が少し面白くなるのではないかと私は願っております。私自身、システムの開発はもちろん大好きです。良ければお手伝いさせていただきたく思います。