サービス業とは異なり、常に商品(在庫)を持ちその商品をお客様に販売するという形式を取る物販店では、「売場づくり」は売上を上げるためには重要な要素となります。商品力もさることながら売場力が自店の盛衰を分ける決め手になることもあるのです。そこで今回は、どのような売場がお客様を集客し、お客様はどのような要素によってその店に惹きつけられるのか集客に焦点を絞りいくつかのポイントを挙げてをお話したいと思います。
(1)自店のターゲットが明確化されている
自店のターゲットを決定するとき、ターゲットに対する切り口は性別、年齢、趣向、ニーズ、と様々あります。ここで重要なのはこれらの要素を複数に併せた、自店のターゲットが明確になっていてそれが売場に落としこまれているかどうかということです。こちらからターゲットを明確にしないまま経営を行なっていても、当然お客様にとってはこちらが思う以上に明確でない店に感じてしまい客足は遠のいてしまいます。ここでは、ターゲットを極端に絞り込むことが重要なのではなく、明確に決定し、それをお客様に伝えているということが重要なのです。ですから、全顧客が対象であるとターゲットを明確に設定したならば、それが売場でも明確に現れていれば良いのです。例えばあるファーストフードチェーンでは、全ての年齢のお客様をターゲットとしているため、全てのお客様が不快感を感じないカウンターの高さとして91cmを挙げていて全ての店舗がこの高さで統一されています。ターゲットを全ての年齢層としたからこそ、大人でも低すぎず子供や年配の方でも高すぎないカウンターの高さを研究しました。このようにターゲットが明確になっているからこそ見えてくる売場をターゲットが買いやすいよう作り込んでいくことが必要です。
(2)TG(ターゲットジェネレーター)発想の売場づくりがされている
TG(ターゲットジェネレーター)とは、店舗を出店する際などに参考として使用する考えですが、地図を俯瞰して見た時に街区全体の中で集客の鍵となる磁石のような存在であると考えていただければ結構です。例えばこのTGをわかりやすく具体的な都市で説明すると、新宿であれば新宿駅と伊勢丹本店という大きな2つの集客施設がTGです。池袋で言うと池袋駅とサンシャインシティ60がTGです。
当然これらの施設間には大きな人の流れができます。この流れができる所に店舗を構えた方が店頭前通行客が増え前提条件として他の店に比べ有利になります。
この発想を売場に持ち込むのです。通常、店の奥になればなるほどお客様は入らなくなる傾向があります。店頭の平台では特価商品を陳列し、通行客の目を引くことはあっても、レジを使用するお客様以外をなかなか店の奥まで引き込むことができません。そこで、先ほどのTGのように店の奥にTGを設置するのです。そうすることで、そのTGを目指してお客様は店の奥まで入ってくることになるのです。
店の奥に設置する商品は目的来店性が高く購買頻度が低すぎない商品がお薦めです。(特に初期段階では)店頭での告知も忘れてはいけません。
(3)季節感を演出する
日本には四季があります。しかし、店内や売場内に入ったとたん、今が夏なのか冬なのかわからないお店や売場が多いのです。せっかく外では桜が咲いているのに店内に入ったとたんに無機質なコンクリートの壁や金属の什器ばかりでは、お客様にとって気分の良い売場になるでしょうか。自店が扱う商品で例えばフラワーショップなど、季節商材を扱う店は商品構成によって季節感を演出できることもあります。しかし、ほとんどの業種ではなかなか難しいのが現状だと思います。
そこで、春には桜の花が刺繍・プリントされたマットで平台を覆ったり、桜の挿し木をしたり、七夕の時期には笹を店頭に飾り、秋には落ち葉を模ったPOPを使用したり、冬には雪の結晶の形をしたライトを通路に映すなど売場内で季節感を演習する取り組みが必要となるのです。それによってお客様が自店や自店の売場に目を向けることが多くなります。
まだまだいくつもの集客のポイントがありますが、自店のターゲットはどのような購買行動を行い、どのようなことで楽しんでもらえるのかを考えて、お客様を自店に集客しお客様の目を惹く、より躍動感のある売場づくりに取り組んでいただければ幸いです。