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在庫はリスクの高い投資であることを理解する

どれだけ少ない在庫の保有量で顧客サービスを維持できるかを考えるかがロジスティクスであると言えます。在庫を持つことによって保管コストと在庫金利が発生します。保管コストは自社倉庫など自社保有物に保管する場合は費用化されないことが多く認識しづらいケースが多々あります。倉庫がタダなのだからたくさん在庫を持ったほうがよいなどと言われたり、せっかく倉庫があるのだから在庫を持たないと倉庫がもったいないなどと言われることすらありますが、これはひどい誤解です。

持っているだけでコストがかかるのが在庫です。なぜなら在庫を保有する際には在庫金利がかかるからです。在庫として商品を購入するのですから、当然お金を使います。そのお金を借り入れる場合だと金利がかかりますし、借りずに自己資金で購入するとしても買わなければ金利がリターンとして発生したとも考えられますから、結局は金利分が費用としてかかったということになります。

現金化が早ければ、つまり、売れるのが早ければ金利分のコストはあまりかからないということになりますし、売れなければずっとお金を借り続けている状態になり、コストがかかり続けているということになります。長期在庫が「悪」と言われているのはこういう理由からです。つまり、在庫を持つということは、短期間の回収を前提とした投資であることを再認識する必要があるのです。

~顧客への納品リードタイムが必要な在庫量を決める~
在庫を持つ理由は「顧客の要望する納期に対応する」という顧客サービスを充足するためです。例えば、本日受注オーダーを顧客からもらい、翌日に納品しなければいけない商品があるとします。その商品が、他社から仕入れるものである場合もあるでしょうし、自社で製造するという場合もあると思いますが、商品を準備するのに3日かかるとしたら、当日の出荷にはどうやっても間に合いません。

そのため、仕入れてから自社に到着するまでの「仕入リードタイム」、または、自社で製造する場合には、指示を入れてから完成するまでの「製造リードタイム」に3日かかるのであれば、次に商品が入ってくるまでの3日分の在庫を持っておく必要があるということになります。この3日分の在庫が、顧客の要望に対応するためのバッファ(無理を吸収する仕組み)になります。別の見方をすると、納品しなければいけないのが3日後であれば、注文から仕入れ、または製造しても十分に間に合いますから、在庫を持たなくてもよいということになります。

このように、「顧客への納品リードタイム」が持つべき在庫量に関係してきます。安定的かつ短納期で手元に仕入れられて、顧客へは余裕をもった納品リードタイムをもらえるのであれば在庫を持たずに運営することができるでしょうが、そのようなシチュエーションはほとんどないと言ってよいでしょう。
そのため、仕入先や製造工程から手元に届くまでの日数を短縮するために各企業は努力し、可能な限り早めにオーダー予定を取得することにより、在庫を限りなく少なくするように努めているのです。