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顧客を会員化することの意味

顧客を特定化し会員化すること。船井総研では、下山経営という考え方の下で、これまでのマスマーケティング的な発想から、個別対応が必要な時代に入ったと伝えている。下山経営とは、少子化・高齢化・格差化を前提とした時流における経営スタイルである。商業施設はこぞってハウスカード会員を増やそうとしている。これも会員化の一つである。

しかし、会員化するというのは決して囲い込むことでは無いという事も知っておく必要がある。会員化というと、顧客を囲い込み、自社だけで占有する事を考えてしまう。大切なことは、会員化した顧客基盤を独り占めしないこと。囲い込むよりも協業しながら、共に成長できる方向性を考えることが必要になる。

有効なリストを増やす簡単な方法というのは、その会社の優良顧客をシェアすること。上得意顧客から紹介を貰うことになる。顧客を囲い込む戦略を取ってしまうと、リストを増やす行為を全て自社だけで対応する必要性が出てくる。市場が拡大している時はそれでも成り立つが、市場縮小期では有効な名簿を獲得するコストは高騰していく。自社が集めた有効名簿も積極的に開示して、パートナーとの相乗効果を発揮していくことは、必要な考え方である。

特に地域においては、ますますそうした考え方が必要になると感じている。自社と同じ属性の顧客を対象としており、商品やサービスとして競合しないパートナー。まずはその観点で探してみて欲しい。特にBtoBの場合、紹介案件というのは成約率が圧倒的に高い。全く知らない相手からの商談の場合、商品力や価格をシビアな目線で判断される。紹介の場合、紹介者のフィルターがあるため、その判断軸が柔らかくなる。実は、顧客にとっても知り合いの会社が既に実施していて効果があるという信頼がある方が購入し易い。

名簿を開示するというのは、この紹介に似た作用が働く。特に大切なことは、開示する名簿の顧客が自社の優良顧客であること。自社の優良顧客ということは、自社に対する信頼が非常に高い顧客とも言える。つまり、その会社の商品やサービスを購入し、効果を上げ、感謝をしている顧客である。顧客は、この企業が薦める商品であれば、同様の価値があるはずと考える。これは紹介と同じく非常に有効な方法である。

DMや広告など、飛び道具は今でも有効に作用する。しかし、それ以上にこの名簿の開示し合うことによる紹介案件数アップというのは、実際の成約数を増やす上で有効である。そのためにも、まずは自社の顧客を特定化し会員化すること。特に優良顧客へのフォローを徹底し、次に開示し合えるパートナーと相乗効果を狙っていく。下山経営時代の一つのマーケティング策として実施することを検討して欲しい。