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皆さんご存知の、あの「ハローキティ」のサンリオの業績が好調だ。
売上高:約940億円(2008年)→約750億円(2012年)
営業利益:約66億円(2008年)→約189億円(2012年)
2012年の売上高は、2008年と比較して20%強も落としているにも関わらず、営業利益では約3倍の実績を上げている。
売上高対営業利益率は、約7%だった2008年と比較すると、約25%という数字に跳ね上がっている。
「ハローキティ」は、あのレディー・ガガやパリス・ヒルトンがお気に入りのブランドとしても知られているものの、ここまで飛躍できた要因は何だろうか。
先日、NHKでも特集されていたが、
サンリオはキャラクター商品の企画・販売からライセンスビジネスへと、
ビジネスモデルを大きく転換し、それを軌道に乗せることに成功した。
そもそもの転機は2008年に取締役として入社した鳩山氏の素朴な疑問がスタートだった。
鳩山氏が米国に留学していた当時、
ディズニーやセサミストリートのキャラクター商品が多くのショップに並んでいる様子を見ながら、
「なぜ、ここにキティが並んでいないのか」を不思議に思っていた。
世界中の誰もがキティを買えるように、あらゆる店舗に並べることを目指し、ライセンスビジネス中心のビジネスへの転換を図ったわけだ。
サンリオの“強み”は、ハローキティというキャラクターそのものであり、
生産管理や販売管理等のオペレーション力が求められる部分は決して強いわけではない。
よって、その“強み”を最大限活用できるモデルへの転換は必然だったのかも知れないとも思うが、
1000億円近い売上と7%の営業利益を上げている(それなりに成功している)状態からの変革には、様々な障害があったのではないだろうか。
それが、ここまでの急成長を成し遂げられた要因としては、
海外展開のためにミラノにオフィスを開設し、
現地法人への権限委譲を図ったことが非常に大きい。
最終的には日本の決裁が必要ではあるが、現地法人のデザイナーには展開する地域に応じて、
あるいはクライアントの要望に応じて、デザインを変更することが容認されている。
しかも、変更点として提案するものは、その殆どが受け入れられているようで、
そのような体制化においては、現地法人スタッフの士気も大いに上がるに違いない。
また、当然ながらクライアントからの評価も高くなるようだ。
ディズニー等のキャラクター管理が非常に厳格なのと比較すると、
変更したいデザインを柔軟に認めてくれるキティに対する取組意欲は当然高くなる。
それらが相俟って、展開する国はすでに100カ国以上、アイテムは5万点を超えている。
“強み”を最大限活かしながら、“人”を最大限活かすこと、これがポイントになっている。
サンリオの次の一手が楽しみだ。