深刻な不況は、私どものお付き合い先にも影響を及ぼしています。
最近、企業再生案件のような難易度の高いコンサルティングが増加してきたように思います。
企業再生と言いますと、民事再生の債務整理や会社更生の別会社として事業を再構築する色合いが強くなり、法的な手続きばかりがフォーカスされることが多いですが、我々に求められているのは、もう少し違うところにあるようです。
企業再生は、会社更生法と民事再生法のように適用する法律によって多少異なりますが、一般的には、更生(再生)手続き開始申し立てをし、裁判所の承認を受けて更生計画を作成し、再建手続きを進めるという手順で再建を目指します。
再建中の企業や、再生の法律適用段階に至らずとも金融機関の管理下の企業等を見ていますと、経営を継続しながら再建を目指すという点で、再生計画の経営計画や債務の返済方法の蓋然性が高いということが求められてきているようです。
再生を進める中で、投資家(金融機関等)のバックアップは欠かせません。最近我々に求められているのは、再生計画に対し、第三者の目から見て、投資するに値するか否かの判断で、本業で儲ける企業体力がどれだけあるかを評価するというところに集中しているように思えます。
本業で儲ける企業体力には2通りあります。人で例えると、ぜい肉をそぎ落とすのと筋力を付けると言えるでしょう。ぜい肉をそぎ落とす、つまり、利益を生みにくいコスト削減を得意とする専門家は数多くいますので、コスト抑制により利益を創出する力を引き出すことはできます。一方で筋力をつける、つまり、コストを投入して新たな利益を生み出す力を作り出すという動きはなかなかできないようです。
後者の、どれだけのコストを投入するとどれだけの利益を生み出せる実現可能性がどれくらいの確率であり、投資価値があるか否かを明らかにするという点で、業種の知見や業績を向上させるノウハウが重用されるのです。
今後、企業再生案件のような難易度の高いコンサルティングニーズが増加すると予測しています。おそらく、企業のM&Aが盛んに行われてきた中で事業デューデリジェンスへの重み付けが強まってきた背景があるのではないかと思います。
我々に求められるのは、上記でお伝えしたように本業に投資することによってどれぐらいの利益を生み出す可能性がある企業であるのかを投資家に明示できることであり、そのようなサービスを強化していけたらと考えています。
(この記事は2009年7月31日に初掲載されたものです。)