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「志」

コンサルティングの現場では得てして理論だけでは判断しきれない状況がある。というより毎日その連続だと言っても過言ではない気がする。それはコンサルタントが判断しきれないのではなく、経営者に判断しきれない事が起きているという方が正しい。

今月ある尊敬する方からのプレゼントで松下幸之助氏(述)松下政経塾(編)の「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」という書籍を読む機会を頂いた。そこに決断へのヒントが多くある。松下政経塾の塾訓は下記の通りである。

【松下政経塾 塾訓】
素直な心で衆知を集め
自修自得で事の本質を究め
日に新たな生成発展の道を求めよう


そして下記が本書の中でも私が特に印象に残った言葉である。

・戦術・戦略も大事。しかしそれ以上に、何が正しいかということを忘れてはならない。
そうでなければ大事は決行できないものだ。

・迷うだけ迷う
迷うだけ迷ったらいい。ただ踏み誤ったらあかん。迷っている間はいいわけや。
迷っている間はじっとして、ぱっと光明が見えるまでは、そのままの姿で勉強していたらいい。いつか光明を発見して腹が決まる。

・心配するために生きていてる
社長というのは、心配するために存在している。それが運命であり、宿命であり、さらには生きがいやな、こう思っている。全く心配もなく、えらいうまくいって安心だと思っていたらぼくの生きがいはなくなってしまう。

・勝つことに対する執念
やっぱり勝とうという執念の強い者が最後に勝つ。商売というものは勝ち負けやな。
熱心にやったら注文をとれるわけや。勝つことに対する執念を持たないといけない。

・感動する手紙を書いているか
相手が感動する手紙を書いているか。通りいっぺんの手紙になっていないか。礼状一つでも違うわけや。何でもないことやけど、そこから人間の活動が始まる。問題はそういうことやな。

・おぼろげにわかれば十分
一つの問題を突きつめて議論したら一生かかってしまう。一生かかって、わかった時分にはころっと死んでしまう(笑)。それを議論倒れと言うんや。
半信半疑でも結論を出さないといかん場合がある。その説明のできない一種の悟りの境地で「適当なところ」を見極めることが肝要や。

・長所と欠点
僕も欠点だらけや。そのつもりで付き合ってくれよ。そうでないと、僕が諸君からもらうものが何もなしになるわ。部下や後輩や生徒には教えるだけではなく、裸の一個の人間として付き合い、話し合い、学びあう姿勢を忘れない。

・和がなければ全てが無となる
和をもって第一とするということやな。和をもって協力するということが何より大事やから、そいつをしっかりとひとつ頭に入れておいてくれや。頭に入れるより、胸に入れてくれや。心に入れておいてくれや。それが大切や。


これはほんの一部でありその他人生訓となる言葉が全般に散りばめられている。私は今広告業界のコンサルティングを主に活動している中で、経営者とコンサルタント、そして現場社員全員にこの共通の概念がなくてはならないと感じている。

それぞれの人生における「志」、それが集まって醸し出す企業としての「志」、それを牽引する経営者の「志」。経営の現場は迷いの連続である。しかし意思決定をするまでに完璧を求めすぎてはならない。松下氏の言葉にもある通り確証がなくとも決断をせねばならぬ時がある。

広告業界においてはそれがまさに今である。その時に道を踏み外さない唯一確証があるとすればそれが「志」の在り方なのではないだろうか。迷いというのは状況に迷うのではなく自分の「志」がどこにあるか、その確認作業なのではないだろうか。広告業界ではこの「志」を見失いそうになるほど業界は厳しい状況に置かれている。目先の売上を追うがあまり、本質的課題がおざなりになりがちな企業が多く存在する。

この不況下は実はチャンスだと私は捉えている。驕る企業、高慢な人、他力本願、スピードではなく単なる焦りとなっている企業はうまくいかない時代なのである。逆を返せば、謙虚、スピード、厳しさと対話、変化への対応力、そして信頼がある、人の育つ土壌作りをしている企業が勝つのである。特に現実的には変化への対応力が試されている。

今じっと動かずというのは変化への対応とは真逆の選択なのである。大きく変化している市場に対し昨年以上に大きな対応を講じないと存続が危ぶまれるのが今の広告業界なのである。全てが整っている暇はなく、志を軸に決断をしていかなくてはならない。それこそが強固な企業ブランドを作ると信じてやまない。