京王電鉄が4月21日に吉祥寺の駅上にオープンさせた新しい駅ビルがキラリナです。
井の頭線吉祥寺駅に直結する地下2階地上9階建ての新商業施設です。
メインターゲットは30代女性。仕事帰りや家事・育児の合間に夫婦やカップルでも利用できる施設を目指すということです。
「Cosme Kitchen(コスメキッチン)」や「jupiter(ジュピター)」の新業態をはじめ国内有力セレクトショップなど、全98店舗のうち約7割が吉祥寺エリア初出店。
駅ビルで女性をターゲットにした施設はいくつもありますが、
「30代女性をメインターゲット」にした施設はありそうでありませんでした。
キラリナを視察して、キラリナの特徴をまとめてみました。
女性客を集客したい企業にとってはさまざまな発見があるはずです。
ここではそのポイントを整理してみます。
キラリナ京王吉祥寺は地下2階から地上9階の駅ビルです。
「いろんな私に出会える、私のお気に入り」をテーマに30代女性をターゲットとしたファッション、コスメ、雑貨、食品テナントを揃えています。
開業1年間の来場者数は1,800万人、売上は130億円を目標にしています。
子供を遊ばせながら休憩できる芝生やテラスの屋上スペース、キッズトイレ、授乳室・おむつ替えスペースを設置した他、ベビーカーの貸し出しサービスももちろん行っています。
私はオープン後の平日に行ったのですが、ターゲットと想定している30代~40代女性の来客が確かに目立っていました。そして、たくさんのお客様で賑わっています。
施設の中にいる9割くらいは女性客ではないかというくらい、女性を集客しているビルです。
平日の昼間からこれだけのお客さんがよく入るなと感心するほど入っていました。
1.吉祥寺という立地特性
やはり、京王線の駅、しかも吉祥寺駅直結という立地の優位性は揺るぎないものであると感じました。これだけの人がはいるというのは東京という大商圏ならではの特性と、吉祥寺という住宅を背景にもった商圏特性も大きく影響しています。
京王線沿線の駅では、新宿と渋谷についで乗降客数が多い駅。
これが吉祥寺です。
1日の京王線の乗降客数ランキングです。
1位 新宿 73万人
2位 渋谷 33万人
3位 吉祥寺 14万人(下北沢は12万人)
京王線の中では吉祥寺は地方都市ひとつ分くらいの人が1日に行き来するわけで、それなりのブランドが出店してもやっていけることがわかります。
やはりひとつの業態というものを成り立たせるのは、そこに集う人口が大きな要素になるわけです。
特に集客していたのは、靴屋と雑貨屋。
オリエンタルトラフィック(株式会社 ダブルエー 東京・恵比寿)、サリュ(パルグループ)という店。
今は洋服屋よりも、服飾雑貨や生活雑貨に人が集まる時代です。
アパレルショップもこうした雑貨を上手にとりいれないと経営がうまくいかない時代。
その意味ではこの2店舗は見ておいたほうがいいでしょう。
2.価格特性
上記2店舗はいずれも、比較的リーズナブルな価格の商品を販売。
オリエンタルトラフィックでは3000~4000円中心の商品を販売しています。セールではないのに常に安い。やはり買いやすい価格でいいものがある店が繁盛しています。
3.顧客特性
ベッドタウンという土地柄ゆえ、子連れ客が利用しやすい空間作りをしています。
5階にあるトイレには、ゆっくり化粧直しができる1室ずつのイス付きドレッサーやフィッティングルームを充実させ、女性の支持率を高めようとしています。
施設の内装には「アートの街・吉祥寺」を意識し、吉祥寺ゆかりのアーティストを起用。エレベーター前の壁面イラストや、トイレ内にある鳥かごモチーフのドレッサー、キッズトイレの壁面タイル、ベンチスペースの壁面など随所にアートワークを施しています。
また、テナントリーシングは「吉祥寺にありそうでなかったものをコンセプトに誘致した」(同広報)ということです。「ビームス(BEAMS)」「ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)」「アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)」などの大型セレクトショップが吉祥寺に初出店しています。他では珍しくないですが、吉祥寺では珍しい。
だからビームスにもよく人が入っています。
女性のなかでも特に30代女性に特化した店。
これこそが最大の差別化ポイントであり、ほかの施設とはちがう独自性です。ターゲティングの重要性をあらためて再認識させられた施設でした。