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アウトソーシングによる業務改革で成果を出す方法

市場の低迷が続く中、固定費削減のために多くの企業でアウトソーシングが利用、もしくは検討されている。アウトソーシングされる内容はシステムの運用管理といった支援業務であることも多いが、その内容は多岐に渡っている。

しかし、当初期待した成果(コスト削減、品質向上など)を達成している企業はそれほど多くはない。今回、アウトソーシングによる業務改善で期待した成果を出すための方法について考えてみたい。
そもそも期待した成果を得るためには、アウトソーシングにより得られる成果がどれだけあるのかを、事前に見積もっておくことが必要である。どれだけのコスト削減、パフォーマンスの改善が可能かを事前に分析しなかった場合、アウトソーシング契約の締結後になってからその費用と効果が判明し、その生じた価値のほとんどをアウトソーシング提供業者が享受することになりかねない。

なお、事前分析を行うことで、経営者、経営幹部は意思決定のために3つの有利な点を生むことができる。まず、アウトソーシングによるメリットが少ない場合や業務の廃止や統合により十分な効果を得られると分かった場合には、アウトソーシングを行わない方という判断を下すことできる。

次に、どのような業務があるのか、そして業務を改善することによりどのような価値を生み出すことができるのかを徹底的に見直すことができ、より多くの可能性について検討することができる。

最後に、今後の自社の経営戦略を加味して検討することで、M&Aなどを行った場合の契約の際に発生するリスクを最小限に抑えることができる。
事前分析で行うべき項目については、アウトソーシングサービスの提供業者がどのような価値をもっているか知ることである。一般的には、規模の経済性、専門性の追求、低コストの労働力の確保、運営費用の低減、また、業務改善のコンサルテーションの価値提供を行う提供業者が多い。ただ、これらの多くは自社内で実現できるものも多く、アウトソーシングの本来の価値としては主に次の3つが考えられる。

まず、コアビジネスへの人材の特化。人材のリソースを日常業務ではなく、競合との差別化のために集中したいと考える企業にとっては、アウトソーシングにより達成できる可能性も十分ありえるといえる。

次に、早期のコスト削減効果の実現。自社で単独に業務改善に取り組むよりも早く、規模の経済性によりコスト削減を達成することができる。これは、提供企業は特化した専門領域でサービスを提供しており、十分なビジネスインフラをもっているため、同業界の同業務であれば、複数業務に対応することができるためである。

最後に、パフォーマンス保障によるリスクの低減。期待した成果が得られないという業務改善の社内プロジェクトは多く存在するが、このプロジェクト業務をアウトソースした場合には、パフォーマンスに関する保障契約を織り込むことでリスクを低減することができる。さらに、想定以上のパフォーマンスをもたらした場合は利益を折半するなどのインセンティブを契約に盛り込み、双方にとってアウトソーシングをよりよいものへとすることも可能である。

経営者もしくは経営幹部はアウトソーシングが上記の3つの価値をどれほど提供できるかについて、十分検討した上で検討課題になっている業務の細分化を行い、ベストプラクティスと比較し、改善点とそれ以外との切り分けを行う必要がある。これは、業務内容や社内制度、組織を含めて検討される必要がある。

こうした検討を経て、自社で業務改善を行うよりも、提供業者に委託を行った方がコスト削減ができる、もしくは、委託を行うことで改善活動がより推進され、さらなる成果をもたらすことができる、と判断できた場合にアウトソーシングを行えば、期待した成果を達成することができる。
これらのアウトソーシングのための事前分析については、アウトソーシングの実施有無に関わらず、自社内の業務を見直すために効果的な方法であるため、検討価値がありそうな業務については、まず一度社内でプロジェクトチームを結成し、分析を行ってみてはいかがだろうか。